歩くだけで体幹と足裏を鍛える「ベアフットシューズ」3選。靴を“ハダシ”に近づける
靴底メーカーの底力。ビブラムの5本指シューズ
一目瞭然、これが究極のベアフットシューズです。マリンシューズではなく、れっきとしたガチンコのランニングシューズです。ビブラムといえば靴の底材を連想しますが、底材メーカーだからこそ実現できたのがファイブフィンガーズ。こちらも「5本指ソックス」に最低限の厚みがついているモデル。しかしそこはさすがのビブラム社なので、これで走ってもアスファルトでもオフロードでも、足裏にケガをさせません。実際皇居ランナーの方や河川敷でもこのシリーズで走っている方は見かけます。ただの奇をてらったアイデア商品ではなく、シリーズが始まったのは2004年。以来ずっと売れている、ビブラム社の看板商品です。 ナイキとはまたちがった着眼点で、人類は裸足で生活してきたんだから裸足の方がラクでしょ?というあっけらかんとした着想。個人的に好きです。しかしデータをとってみれば足の前方からつま先にパワーがきちんと連動することがわかり、今ではジムの筋トレで使う方も増えてきています。
ランからジムへ進化。ニューバランス「ミニマス」
ニューバランスも2011年から地味にベアフットシューズをつくり続けています。「ミニマス」シリーズは一時期はランニング専用でしたが、ふんばり力により注力してできたのがジム用のトレーニングシューズです。ニューバランスはおしゃれ履きのイメージが強いのですが、実はアメリカ軍の正式なトレーニングシューズのメーカーとしても指定されています。貴重な人材にケガはさせたくありませんし、実際アメリカ軍の2012年の調査では裸足よりもトレーニングシューズを履いたほうがケガは3倍以上多かった、というデータがあるほど。このモデルも底は極限まで薄く、カカトとつま先の落差もほぼありません。自然にアキレス腱も伸び、体全体のエネルギーロスがなく、パワーは出しつつもケガは防ぐのがコンセプトです。 ランニングシューズやトレーニングシューズはまさにテクノロジーの結晶なのですが、行き着いた先が「裸足」というのは興味深い結果です。しかもけっしてアイデア商品ではなく、どのブランドもまず事実を直視し「ケガを防ぐためには裸足が一番」という結論にたどりついたことが重要です。日本人も「はだしにワラジ」の期間が千数百年と圧倒的に長く、歩行距離も現代人の数倍がザラでした。ファッションとは対極の存在ですが、ストイックにウォーキングやトレーニングに振り切るなら、ベアフットシューズは欠かせない存在です。 【シューフィッターこまつ】 こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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