SNSやYouTubeの見すぎは「うつ病」の引き金に。うつ病の治療は「認知症の予防薬」にもなる!【山田悠史医師】
今うつ病でも、治療をすれば認知症の予防になる!
このようにして、うつ病が認知症を引き起こす可能性があります。しかし、うつ病をすでに患っている方も、そのご家族も、それを知って肩を落とすのはまだ早いかもしれません。うつ病の治療は、将来的な認知症リスクを減らしてくれる可能性があるのです。 英国で行われた大規模な研究では、50~70歳のうつ病と診断された約4万6千人を12年間追跡しました。この研究によれば、うつ病の人の中でも、治療を受けた人は、未治療の人に比べて認知症のリスクが低かったのです(参考文献9)。 具体的には、薬による治療を受けた人では、認知症のリスクが約23%減少していました。これは、薬によって脳内の化学的なバランスが整い、脳の健康が保たれた可能性があります。また、心理療法を受けた人では、リスクが約26%減少していました。カウンセリングやセラピーを通じて、ストレスや不安を軽減することで、脳への悪影響が減ったのかもしれません。さらに、薬物療法と心理療法の両方を受けた人々では、リスクが約38%も減少していました。 これは、うつ病の治療が認知症のリスクを下げる「予防薬」のような役割を果たしているとも言えます。例え火事が起こりそうになってもボヤのうちに火を消し止めれば自宅の「健康」を大部分守ることができるのと同じように、うつ病も早めに適切な治療を受けることで、将来的な脳の健康を大きく守れる可能性があるのです。 こうして見てきたように、うつ病は、認知症の修正可能なリスクとして知られています。ソーシャルメディアの使いすぎのような、うつ病のリスクとなりうる生活習慣を改善してうつ病を予防すること、仮にうつ病を発症しても、適切な治療を受けることが、認知症リスクを減らすことにつながります。逆に、せっかくの休日にもソーシャルメディアばかり見ていると、うつ病、ひいては認知症のリスクを高めることにつながってしまうかもしれません。 前回記事「元プロサッカー選手は認知症になる率が一般人の約3.7倍!「頭の怪我」「頭への衝撃」がもたらすこと【山田悠史医師】」>>
山田 悠史