久保建英は大舞台に強い スペイン人記者が指摘するバルセロナ戦での驚異的なパフォーマンスを裏づけるデータ
【バルサ戦は驚異的なパフォーマンス】 久保が常にバルサ戦に照準を当てているのは明確だ。過去に所属するも諸事情により退団せざるを得なかったこと。のちにライバルのレアル・マドリードに加入したことに加え、その試合の重要性が彼の特別なモチベーションに大きな影響を与えている。 バルサ戦で改めて自分の価値を証明してみせた久保は、ラ・レアルの攻撃におけるスターとしてだけでなく、守備でも献身性とハードワークを示し、模範的な選手となった。プレーが非常に正確かつクレバーで、特にブライス・メンデスとよく理解し合っていた。 ゴールにつながりそうなキーパスを3本出し、ドリブル、ロングパス、クロスを100%成功させた。さらに個人技を発揮してシュートも打ち、デュエルに7回勝利し、地面に倒れこんだ時にファウルを受け、イニゴ・マルティネスのイエローカードを誘発。守備ではタックルを3度仕掛け、ボールをクリアするシーンもあった。 久保はフル出場して最高の働きをし、サポーターを楽しませた。ゴールこそ決められなかったが、自身のパフォーマンスがチームの勝利につながったことに満足しているだろう。 サポーターはまた、この試合でボールを持っていない時の久保の働きも認識したはずだ。それはSNS上で、彼のメインの仕事でも長所でもない守備に対するポジティブなコメントが多数見受けられたところからもわかる。 ラ・レアルは、それまで公式戦すべてでゴールを奪い、直近7試合の平均得点が3ゴールを超えていたバルサにゴールを許さなかっただけでなく、10年ぶりに枠内シュートを1本も打たせなかったのだから、久保が守備でも大いに貢献したという意見はまったく的外れなものではない。
【バスクダービーに臨む久保】 ラ・レアルはこのあと11月24日にサン・マメスでラ・リーガ第14節アスレティック・ビルバオ戦が予定されているが、延期となる可能性がある。それは、スペイン東部の洪水被害で延期された国王杯1回戦ホベ・エスパニョール戦が、一度21日に決まったものの、ラ・レアルが代表戦直後の試合で選手が半分以上いないことを理由に日程変更をスペインサッカー連盟に訴えており、その決議を待っている状態にあるためだ。 バスクダービーはバスク州のスポーツ文化の根幹をなすもので、街の機能を麻痺させるほどの大きなライバル関係がある。ビスカヤ県(※県都はアスレティックの本拠地ビルバオ)では誰もがアスレティックサポーターであり、ギプスコア県(※県都はレアル・ソシエダの本拠地サン・セバスティアン)では誰もがラ・レアルサポーターだ。 これほどまでに混じりっけのない、生粋なサポーターだけで占められている地域は珍しい。それは、マドリード、バルセロナ、セビージャなどのダービーマッチのある都市や、マドリディスタやバルセロニスタがたくさんいるスペインの多くの街では起こらないことだ。 両チームのサポーターは友好関係にあるが、ここ最近、少数ではあるがSNSに過激な投稿をするサポーターが出てきて伝統あるバスクダービーの雰囲気を台無しにし、大きな混乱を招く事態も起こっている。 久保にとってバスクダービーは楽しみな試合となっている。そのきっかけとして、ラ・レアル加入初年度、バラカルド(ビスカヤ県)で行なわれたプレシーズンマッチでのバスクダービーで汚いタックルで痛めつけられた際、ベンチにいた何人かのアスレティックの選手に笑われたことがあった。これは残念で非難すべきことだ。 それ以来、久保は個人的にそのことを忘れず心の中に留めており、バルサ戦後に「アスレティックと勝ち点2差なので、いい状態でダービーに臨むことができそうだ」といたずらっぽく笑っていた。 しかし、久保はまだサン・マメスでのダービーでは優れたパフォーマンスを発揮したことがない。FWとしてプレーした初年度は0-2で敗れ、昨季はアジアカップ参加で欠場したため、クリアすべき大きな課題となっている。また、チームも3連敗中である。