新紙幣で廃業危機…地方ラブホテル、自動精算機の買い替えで「1000万円」吹き飛ぶ事態に
●一部は公的補助を受けられたものの、対象外の部分も多い
能登半島地震で被災したものの、レジャーホテルは公的支援から除外されていたことは以前紹介したが、被災した宿泊施設の改修工事費の一部について助成する「金沢市被災宿泊施設改修支援事業費」の対象に含まれることが3月末に決まった。 外壁や配管など、破損した部分の3分の2の費用を公的補助金で修理できることになったと高田さんは明かす。 「もう感謝しかありません。申請の締め切りの4月末に何とか間に合わせて市の審査も通り、7月初旬に約360万円の補助額が決まりました。 ただ、非常に助かったのには間違いないのですが、内装などは震災用ではなく通年の改修費補助で対応となり、補助対象外の部分も多く、当店でも客室内の内装や天井、非常用避難階段などの内壁がひどく傷んでいるところもあり、塔屋壁面のネオン照明などはどちらの補助金からも対象外でした。 そこでやむなく、ペンキ塗りや内壁補修など、一時的ですが自分で修繕したところもあります。受領予定の補助金以外に約500万円の出費になりそうです。8月段階で工事を終えたのは、緊急補修の給水管と、かなり危なかった塔屋の鉄骨補強と外壁替えだけで、他はまだ工事待ちになっています」 高田さんによると、奥能登6市町にある約10店舗のうち営業再開できたのは、わずか2店舗しかないという。公的支援のなさに加えて、人口流出による商圏縮小や再建築不可という風営法の悪影響もあり、このまま廃業してしまう店舗も多いのではないかと危惧している。 「すぐ近くの津幡町にあるラブホテルは床上浸水して休業となりましたが、今でも野ざらしの状況です。一方で周辺はきれいに直されていて、その格差を見るにつけ心が痛みます。自分も被災当事者になって身に染みてわかったことですが、自店の再建だけでもかなり労力が必要で、行政に対しては思うような動きがほとんど取れませんでした。 窮余の策として、隙間時間にSNSで訴えたのが大きく取り上げられたからこそ、部分的に改善されたに過ぎません。レジャーホテルが二次避難所や再建関連の各種補助金、復興宿泊割などから排除されたことは、有志で結成した金沢レジャーホテル協会のアンケートで約9割が『おかしい』と答えています。親身になってくれた議員もいますが、行政に訴えても、再検討されず動きもありません」