ダイムラーが2026年までに燃料電池トラック量産へ! ドイツ政府などが巨額の資金提供!?
ダイムラーが一貫して追求する「デュアルトラック戦略」
資金提供のアセスメントにおいて欧州委員会は、早い段階からこのプロジェクトに匹敵するベンチャーが存在しないことを確認しており、IPCEIの基準として肯定的に評価された。 水素をエネルギーを保持するキャリアとしてみると、液体水素は気体水素よりはるかに密度が高く、すなわち大量のエネルギーを持ち運べることを意味している。トラックの燃料とした場合、航続距離が大幅に伸び、従来のディーゼル車に匹敵するパフォーマンスが得られる。 さらに液体水素タンクは、気体用の高圧タンクよりコストと重量の両面で利点があり、「極低温」が必要という一点を除けば、液体水素は長距離輸送にとって理想的な燃料だ。ダイムラーは「GenH2」プロトタイプトラックによる公道走行「#HydrogenRecordRun」により、液体水素タンク1つで1047kmを走行し、その可能性を実証している。 2022年に拘束力のない資金提供の見通しが出ており、ダイムラーは早くから対応を進めることができた。プロトタイプの製造もその一部で、既に5台がカスタマートライアルを進めている。いずれもセミトレーラ・トラクタで用途はドイツ国内の様々な長距離輸送だ。 その燃料となる液体水素(過冷却によりボイルオフ損失を抑えた「sLH2」燃料)はヴェルト・アム・ラインとデュイスブルクにある液体水素充填ステーションで補給している。 2026年末から順次100台が追加されることになったが、変革を成功させるためには今後数年間で国際的な燃料補給インフラの構築と、コスト競争力のあるグリーン水素の供給を併せて確保する必要がある。 世界最大の商用車グループの一つであるダイムラーは、2039年までに主要市場(欧州、米国、日本)で提供する新車のすべてを、走行時にCO2を排出しない車両にするという目標を掲げている。 バッテリーEVは配送車両としては最適で、また長距離輸送でも走行ルートと時間があらかじめ決まっている定期便(幹線輸送)では、適切な充電オプションを備えた車両(メルセデス・ベンツ「eアクトロス600」など)により可能となる。 ただし、柔軟な配車が必要な一般的な長距離輸送や重量物輸送などは、水素がより優れたソリューションとなり得るとして、ダイムラーは水素とバッテリーを両輪とするデュアルトラック戦略を一貫して採用している。 また、適切なインフラと充分なグリーン電力を確保する上でも、エネルギー移行を迅速かつコストを抑えて実現するためには、どちらかに依存するのではなく両方の技術が必要であるというのがダイムラーの主張だ。
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