“絶望ラジオ”なぜ人気? 韓国の若者たちは何に絶望しているのか?
「借金が増え続けている。残高は7万ウォン。携帯料金20万ウォン・水道料金10万ウォン未納。大学生に融資してくれるところを教えてください」 このような「絶望的なニュース」だけを紹介するポットキャストが韓国の若者の間で人気を広げています。番組の名前は『絶望ラジオ』。 ほかにも「履歴書を買うお金がなくアルバイトの申し込みさえできない」「お客がいないとき、バイト時間を減らすためにインターネットカフェでも行ってこいと言われた」「配達途中で事故にあったが、店から個人事業者だとうったえられて治療費の支給を拒否された」「1時間待たされた面接で、1時間半ほど外見のことを指摘された」「郵便ポストに手でつかめないほど、返済の督促状が届いていた」「アメリカで音楽を勉強したのに、教会の伴奏アルバイトしか働く道がない」「親に自分名義の車を買ってあげたら税金未納で、軍隊の給料が差し押さえられた」など、放送されるのは絶望、悲観的な満ちた叫びだけなのです。
もっと頑張れ! 激励は問題解決にはつながらない
『絶望ラジオ』の放送が始まったのは半年前の2015年8月22日。番組DJの金成一さんが放送を始めようと思ったきっかけは、偶然バスのなかで聞いたラジオ番組の内容にありました。 リスナーの悩みを紹介した司会者が「もっと頑張って見てください」「きっと上手くいきますよ!」と”上からの目線”で軽いアドバイスを連発していたことに金さんは反感を抱きました。 「頑張ってもギリギリの生活しかできない人に、もっと頑張れ!と激励しても問題解決にはつながりません」と金さんは言います。 「助言はいらない、激励もいらない、答えは求めない、若者の絶望を告発する」と番組のスローガンを決めたのもその理由です。だから、「深いい話」で未来に希望があるとか、励ましの言葉を贈ることはしません。 「成功した人の前で自分の失敗談を語るのは悲惨ですが、ここでは相身互いで慰めになるから、家族や友達にも語れない話ができる」とリスナーの一人は『絶望ラジオ』の人気の理由を説明します。