製錬大手8社の4~6月期、6社が最終増益。通期は4社増益見通し。非鉄価格上昇や円安など寄与
非鉄製錬大手8社の2024年4~6月期連結決算が出そろった。銅や亜鉛などの非鉄金属価格上昇や円安影響に加え、電子材料が回復傾向となったことなどから8社中6社が最終増益(黒字転換含む)となった。一方、通期予想では最終損益予想を公表している7社中4社が増益を見込む。金属価格や為替、自動車分野の先行きに不透明感があるが、半導体分野の需要回復に加え、非鉄価格が引き続き高値圏で推移していることなどが増益要因となる。 4~6月期決算では、三菱マテリアルは円安影響や電気銅などの増販、為替・価格変動差およびヘッジコストの減少、持分法投資利益の増加などから増益。JX金属は半導体材料および情報通信材料の増販、円安影響や銅価格上昇があったが、前期に計上した一過性利益の反動影響から減益。住友金属鉱山は銅および金価格の上昇、円安影響に加え、受取利息増加による金融収益好転などから増益。 三井金属はマイクロシンなど機能材料の主要製品や排ガス浄化触媒の増販、円安影響、非鉄価格の変動に伴う在庫要因好転などから増益。DOWAホールディングスは非鉄価格上昇や円安影響に加え、情報通信関連製品や太陽光パネル向け銀粉の増販などから増益。東邦亜鉛は亜鉛価格上昇や円安影響に加え、資源事業の損失縮小、環境・リサイクル事業の増益などから黒字化。日鉄鉱業は石灰石の増販や円安影響、20年度に鳥形山鉱業所で発生した火災の保険金受領、保有株式の売却益の増加などから増益。一方、古河機械金属は機械事業、素材事業がともに減益となったため減益。金属部門は電気金の減販、電子部門は結晶製品で顧客の在庫調整の影響があった。 4~6月期決算に合わせ、住友金属鉱山と三井金属の2社が通期予想を上方修正した。住友金属鉱山は、前提となる銅および金価格が前回予想を上回ると見込んだほか、材料事業の損益予想を上方修正し、最終損益予想を前回予想比で170億円上方修正した。三井金属は銅箔事業の好転や亜鉛価格上昇、円安影響、排ガス浄化触媒の増販などに加え、下期以降の電解銅箔およびマイクロシンの値上げ実施による増益効果、政策保有株式の売却益計上などから最終損益予想を前回予想比で210億円上方修正した。