定年後の誰にでも訪れる悲惨すぎる落とし穴…「俺は自由だ」と思う60歳以上の人が陥る「意外な勘違い」
家族の理解も必要
たとえば、起業して自宅で仕事をするようになれば、顧客からの連絡や訪問の対応をはじめ、いろいろな面で一人では処理しきれないことが出てくるはずです。配偶者や家族のサポートがなければ、お客様への対応一つ満足にできないかもしれない。そういうことを考えておく謙虚さが必要です。 私の場合、以前は家の外に事務所を持っていました。日比谷、赤坂、半蔵門、自宅に近い川崎市など、何度かその場所を移しましたが、二〇二三年三月いっぱいで完全に事務所を閉めました。理由はコロナ禍やお金の問題ではなく、自分自身の体調の問題です。 病気をして事務所に行くのが難しくなって以来、お客様から連絡があっても直接対応できず、秘書とのあいだで「こういうご連絡がありましたが、どうしますか」「それはこうお答えしてくれ」といったやりとりが続きました。これ以上事務所を開けておくと、かえってお客様に迷惑がかかると判断し、自宅で一人で仕事をすることにしたのです。 もちろん、事務所を閉めるにあたっては、事前にワイフに相談し、了解してもらいました。自宅療養中でも会議や打ち合わせはオンラインでできるので、私自身に不自由は何もありませんが、ワイフの仕事はいろいろと増えるからです。 起業を考えている人は、つい自分の仕事のことばかりに注意が向きがちですが、家族への影響も考えておかないと、理解と応援を得るのは難しいでしょう。 どこを拠点に仕事をするか、配偶者のサポートはどこまで必要か、家族の誰かに秘書的な役割を担ってもらうのか、その場合の報酬はどうするのか、といったことをよく考え、事前に家族に相談して了解を得ておく必要があると思います。 さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽 宇一郎