”18歳の自分を超えた” 33歳・鈴木聡美 日本競泳史上最年長で五輪代表
日本の競泳史上最年長となる33歳でオリンピックの代表入りを決めた、鈴木聡美(すずき・さとみ)選手。一時は競技の継続を悩むほどの苦難の時を超え、2大会ぶりのオリンピックの舞台で、進化した泳ぎを見せる。 ■100メートルでは自己記録更新もパリオリンピック代表選考会は2種目で優勝し五輪切符 鈴木は、今年3月に行われたパリオリンピックの代表選考会で、まずは、100メートル平泳ぎで日本記録保持者の青木玲緒樹(あおき・れおな)選手との熾烈なデッドヒートを制した。タイムは自己ベストを更新する記録。さらに、200メートルでも優勝を果たし、2種目でのパリオリンピック代表を決めた。 33歳でのオリンピック出場は、日本の競泳史上最年長の快挙だ。鈴木は、「タッチして自己記録だったことに一番の喜びを感じた。まさか私が一番になると思っていなかった」と当時を振り返る。 ■早朝6時半から猛練習1日に泳ぐ距離は”1万メートル” 鈴木の躍進を支えた要因の1つが豊富な練習量だ。山梨学院大学でトレーニングを行う鈴木は、早朝6時半から大学生に交じって練習。午前中だけでも平均して5000メートルほどを泳ぐと、昼間はジムでのトレーニング。午後からはまた大学のプールに戻って泳ぎ、1日で約1万メートルの距離を泳ぐ。 33歳でこれだけの練習量をこなすことができる体力は圧巻だが、「合宿の時に学生たちはちょっと元気残っているけど、私は這いずりながら起き上がったりだとか、しんどいって思うことは多々ある」と年齢を感じることもあるようだ。 ■ロンドン五輪では3つのメダル獲得も・・・「コロナ禍」「代表落選」で苦境に ロンドンオリンピックでは3個のメダルを獲得。日本の競泳女子では、オリンピックの個人種目で複数メダル獲得は史上初の快挙だった。リオ五輪にも出場を果たした鈴木が、次なる目標に定めたのが、自国開催となる東京オリンピック。しかし、そこに立ちはだかったのが、猛威を振るった新型コロナだった。 周囲が大変な状況に置かれる中、競技を続けていいのか、何かできることがないのか、鈴木は悩んだ。少しずつ歯車が狂っていった鈴木は、東京オリンピックの代表に落選。「練習の中では弱音を吐かないとか、学生の前では泣き言を言わないとか、そういったことも正直辛かった。周りからの意見を気にしすぎていて自分らしくいられなかった」