「未来を――知ってるんじゃないか?」生まれ変わったソン・ジュンギ“ヒョヌ”に早くも創始者から疑いの眼差し<財閥家の末息子 ~Reborn Rich~>
2022年に韓国で公開されたソン・ジュンギ主演のドラマ「財閥家の末息子 ~Reborn Rich~」が、オンライン動画配信サービス「Hulu」にて全話配信中。同作は最高視聴率20%超えをマークし、JTBCドラマ初回放送の最高視聴率を記録した人気ドラマだ。第2話では銃弾に倒れたユン・ヒョヌ(ソン・ジュンギ)が、スニャン一族の末息子であるチン・ドジュンに転生したところからスタート。ユン・ヒョヌとしての記憶を持ったままであることを利用し、スニャン一族として目的を持って動き出す。本記事では、考察を踏まえながら第2話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】ソン・ジュンギ“ヒョヌ”が1987年に転生「財閥家の末息子」 ■壺の破損事件…自分が知っている記憶通りに“今”が進んでいることに気づく 銃で撃たれて崖から落ちたユン・ヒョヌが目を覚ますと、そこは1987年。しかも彼の意識は、スニャングループの末息子、チン・ドジュンの体に乗り移っていた。 目覚めた日はグループの創立者であるチン・ヤンチョル(イ・ソンミン)の還暦祝いの日。邸宅には大勢の人々が集まり、ヤンチョルを祝福していた。スニャン一族も集合していたが、ドジュンの父親ユンギ(キム・ヨンジェ)は親の反対を押し切って結婚し、10年に渡ってスニャン家と縁を絶っていたという経緯がある。そのため一族から冷たく扱われており、嫁のヘイン(チョン・ヘヨン)や息子であるドジュンに対しても、スニャン一族と認めようとしない者も多いようだ。 そんな財閥家のパワーバランスはともかくとして、ユン・ヒョヌはドジュンの姿になったことへの戸惑いが抑えきれない。憑依したのか、タイムスリップなのか、もしくは生まれ変わりなのか…。 奇妙なのは、スニャングループのことを知り尽くしているユン・ヒョヌが「チン・ドジュン」という人物に関する情報を持っていないことだ。なぜドジュンの情報だけが記憶の中にないのか、困惑のなかでも冷静な脳がユン・ヒョヌに疑問を訴えかける。頭を抱えていると、ある少年が祖父・ヤンチョルのコレクションをそっとポケットにしまうところを目撃する。それは、まだ幼いソンジュンだった。 ドジュンの存在に気がついたソンジュンは、驚いて近くにあった“つぼ”を割ってしまう。どうにかドジュンに罪をなすりつけようとするものの、駆けつけた大人たちを前にドジュンは落ち着いて見たままを説明する。「会長の物を盗もうとして僕に見られたんです」と言って、ソンジュンのポケットから盗もうとしたペンを取り出して見せたドジュン。 カッとなってドジュンを殴りつけたソンジュンだったが、その場にやってきたヤンチョルはひどく冷静だった。「なにが悪いか分かるか?」とまっすぐソンジュンを見て言葉を募るヤンチョル。「こんなつぼが惜しいんじゃない。お前は私の後を継いでスニャンの主人になる子だ」「そんなお前が感情に任せて好き勝手に行動することはスニャンの後継者にふさわしくないからだ」と、問題はグループの後継者としておこなうべき冷静な判断ができなかったことだと叱責したのだった。 この言葉を聞いたドジュンのなかのユン・ヒョヌは、改めて戦慄する。読み込んだ自伝や資料で頭に叩きこんだスニャングループの歴史…それがそっくりそのまま、目の前で繰り広げられているのだということを。 ■未来を知り尽くしているユン・ヒョヌはヤンチョルを救えるのか 後日、ヤンチョルの屋敷へ向かったドジュン。ヤンチョルに昨日の件を謝罪しに来たと伝えて、屋敷にあげてもらった。だがヤンチョルは出奔した息子・ユンギを許しておらず、会話の機会も与えられずに追い出されてしまう。 そこで選挙候補者の誰に資金を渡すべきかと悩むヤンチョルの思考を予想したドジュンは、ヤンチョルの秘書イ・ハンジェに壺代を弁償すると言い放つ。つぼがいくらか知っているのかと笑う周囲の大人に、「50億。選挙資金ならそのくらい必要では?」と“自分が持つ情報”の価値をアピールした。 自信満々にノ・テウ候補に渡すべきだと、扉の向こうの祖父へ聞こえるように言い放つドジュン。強気の理由は、ユン・ヒョヌはこの結果を知っているからだ。そして「伝えてください。僕なら選挙資金をノ・テウに渡すと」そう告げてドジュンがその場を去ると同時に、テレビでニュースが流れる。有力と見られていた民主化推進派の候補者2人が決裂し、それぞれに出馬するという。当然票が割れることとなり、両候補の優勢は崩れる…。 彼を呼び戻したヤンチョルは、ドジュンの子どもとは思えない洞察力・推理力に驚く。世の情勢を見て、「僕だったら欲が出て譲れないから」と有力候補たちの決裂を予見したと語るドジュン。そんな彼に、ヤンチョルは「上位が争う間に3番が勝つ漁夫の利もあるが、クジラのけんかでエビがとばっちりを食うことも。だとしたらエビがクジラに勝つ方法はあるか?」というクイズを出した。 答えに窮するドジュンに、「他の子と同じだな」と告げてその場を去るヤンチョル。しかし後日、韓国半導体の危機を取り扱った雑誌に書かれた“日本とアメリカに挟まれた韓国”の図を見て答えを悟る。 さっそくヤンチョルに電話をかけたドジュンだったが、あいにくヤンチョルはバグダッドに出張中だった。1秒でも早く答えを伝えたいドジュンはヤンチョルの帰りの便を聞き出すのだが、その便名を聞いた瞬間にハッとする。その便は北朝鮮の工作員によってテロ被害に遭う予定の飛行機だったのだ。 慌ててカスタマーセンターにテロの件を伝えようと電話をかけるも、当然イタズラと思われて用をなさない。さらにヤンチョルに伝言を伝えようと屋敷を訪れ現地に電話をかけるも、会議中のため電話を繋いでもらえない。できたことは唯一、伝言をメモにして伝えてもらうだけだった。 そして翌日、ユン・ヒョヌの記憶の通り、テロのニュースが舞い込む。テロに遭った飛行機の搭乗者名簿にヤンチョルの名前を確認した一家は、絶望に暮れていた。しかしそこに、ヤンチョルが帰ってくる。飛行機のなかでドジュンの伝言を見つけたヤンチョルは急遽フライト先の変更を決め、さらに皆が反対する半導体事業をより一層拡大することを決めたのだ。 その後、ドジュンの言葉通りにノ・テウが大統領に当選。ヤンチョルは支援の見返りに、国内の半導体事業独占権を手に入れる。あまりにも正確に、あまりにも核心を突く少年・ドジュン。そこでヤンチョルはドジュンを書斎に呼び出すと、驚きの問いかけを始める。 「未来を――知ってるんじゃないか?」財閥を築き上げたヤンチョルの鋭い眼差しは、ドジュンを捕まえて離さない。蛇ににらまれたカエルのように、息を飲んで固まるドジュン。「答えろ!」とついに怒号を上げるヤンチョルに、ドジュンはゆっくりと言葉を紡ぐ…。 ■なぜドジュンに関する記憶がないのか…過去を変えることによる未来の変化とは 第2話ではドジュンの姿となったユン・ヒョヌが、その知識を活かし運命を変えていく第一歩が描かれていた。転生か、タイムスリップか、憑依か…うかがい知れようもない運命をひとまず受け入れ、ドジュンの姿で成功を重ねていくユン・ヒョヌ。凄腕経営者であるヤンチョルとの対峙でも引かない胆力は、さすがのひと言だ。 しかし気になるのは、創始者の自伝まで読み込むほどグループのすべてを頭に入れているユン・ヒョヌが一族の孫であるドジュンを一切知らないということ。ユン・ヒョヌの世界には“元々いない”人物だったのか、それとも1話でソンジュンがヨンギと話していた「過去の事故」と何か関係があるのか…。 さらにユン・ヒョヌがドジュンとして行動することで、未来への影響もありうる。今後の動きも気になる点が多いが、ユン・ヒョヌの目標はひとまず定まったようだ。「この中に自分を殺した人物がいる」と心中でつぶやいたドジュンとしての計画が上手くいくのか、注目していきたい。