アシックス、廃棄禁止する欧州エコデザイン規制に対応 在庫を再利用しシューズ発売
「“ネオカーブ”プロジェクトは21年に始動しており、エコデザイン規制の話が出てから急いで開発したわけではない」と、同プロジェクトを率いる村岡秀俊サーキュラーエコノミー推進部長。環境先進国の欧州では以前から未使用品のリサイクルを進め、床材などとして建材メーカー等へ提供していたというが、自社製品に再利用するのは今回が初。現時点では未使用品のみのリサイクルだが、欧州の直営店では店頭にボックスを設置しての使用済みシューズの回収も行っている。「需給予測の精緻化やサンプルのデジタル化で、そもそも廃棄量は年々減らしてきた。将来的には回収した使用済みシューズをリサイクルしていくことも考える」。
まずはリサイクル環境の整った欧州で“地産地消”を進め、環境負荷の少ない輸送方法が見つかれば他地域に運んで販売することも検討する。他地域で地産地消の仕組みを作ることは、「現時点ではリサイクル環境が整っておらず難しい面が多い」という。
サーキュラーエコノミーは企業1社で達成できるものではなく、消費者を含めて行動変容を促し、社会全体で意識を変えていくことが重要だが、使用後に集荷・回収しリサイクルする仕組みを整えて発売した“ニンバス ミライ”は、発売から約半年の10月末時点で「回収したのは0足」という。消費者が大切に履いているがゆえとも言えるが、行動変容を起こさせることがいかに難しいかも感じさせる。