「ガーシーが実現できなかった国会で“居眠りポリス”を…」だから“石丸伸二が面白い”これだけのワケ
東京都知事選で約165万票を獲得し、次点となったことで脚光を浴び、一躍時の人となった元広島県安芸高田市長・石丸伸二氏。都知事選終了直後にリモート出演した選挙特番で、元『乃木坂46』山崎怜奈の“つたない質問”に対し大人げなくガチで応戦。その後別の番組に出演した石丸氏は山崎に対する対応について 【写真あり】スーツ姿で居酒屋で…「新党結成」の噂が飛び出す石丸伸二氏が下町で会った「業界の大物」 「女、子どもでも容赦しない」 「それが愛情だ」 と語っており、何事にも手を抜かず、全力で戦う、優しい男なんだと納得した次第だ。 そのほかにも、質問に質問で答えたり、相手の勉強不足を指摘して論破したりする話術が、誰が名付けたのか『石丸構文』と呼ばれ、一部ではウケているが、これには拒否反応を示す人が増えたのは否めない。 『石丸構文』ってなんだ? といわれると、 《下らない質問や無知な奴、勉強してこない奴の質問には答えない》 あるいは 《自分に不利な質問は相手の弱点を突いて逃げ切ろう》 という常に自分が優位に立てるようにするための、ある意味自己防衛のテクニックなのかも。 そもそもこの方が、名前を知られるようになったのは、YouTubeがバズりにバズったから。どんな動画かというと、再生回数が最も多かったのは、市議会で居眠りしている議員を叱責する“居眠りポリス”動画だ。 国会でも居眠りしている議員は昔からいて、国会中継でもたびたび目につくことがあり、“けしからん”と憤りを感じる人は多い。しかし面と向かって叱りとばす人はいなかった。地方議会とはいえ、それをやってくれるのだから、見ていて痛快と感じた人は多いだろう。 国会での“居眠りポリス”を公約にあげて参議院議員になった“暴露系YouTuber”のガーシーは、残念ながら失職して叶わなかった。“狂犬”なんて表現されることもあるが、議会と対立するなど、攻撃的で何かに嚙みついている人は、一定数の人に人気があるのは確かだ。 地方のオジサン議員に比べたら、若いし細身のスーツを着こなした都会的センスあふれる姿にファンになった人も多いだろう。 だが、石丸氏はSNSで女性市議のことを「恫喝された」と名指しで糾弾し、女性市議に名誉毀損訴訟を起こされて敗訴している。また、本会議中に居眠りしていて「恥を知れ」と断罪された男性市議は、石丸ファンからのさまざまな嫌がらせを受けた末に胃の持病が悪化し、今年1月に死去している。 一部報道によれば男性市議は居眠りした当時、脳梗塞を患っていたという。その旨を伝えるべく市に診断書を提出したところ、石丸氏はそれをシュレッダーにかけたというのだ。 本人は個人情報の保護のためと言っていたようだが、ショッキングな話である。 また、’20年8月の安芸高田市長選で製作した選挙用ポスターやビラをめぐり、一部費用が未払いだとして、地元の印刷会社が石丸氏に約73万円の支払いを求めた訴訟の上告審で最高裁は石丸氏側の上告を退け、石丸氏に全額の支払いを命じた一、二審判決が確定している。 おやおや、という感じだが、石丸氏はいたって意気軒高だ。 バッシングを受けても黙ってやられっぱなしではない。自分に批判的な報道をするメディアに対して反撃を開始している。 YouTubeの生配信では、本人曰く 「テレビ朝日のインタビューは話切り抜きすぎ」 ということで、今後はフルの動画をアップしない限り、テレ朝の取材をもう二度と受けない、と宣言する。さらに日本テレビ、TBSラジオの選挙特番での噛み合わないやりとりが放送され、非難の声が上がったことから両局に対して不満が爆発。こう語った。 「4年後に僕が都知事選に出るってなったら、大本命じゃないですか。どのメディアも取材したいじゃないですか。でも、『日テレはそういう態度とってたんで、絶対に取材受けません』 と声高らかに宣言。そして、 「ほら、困るでしょ。もう一個あげましょう。TBSの取材、一切受けません」 と、ドヤ顔で出禁宣言をした。 『タカアンドトシ』じゃないが、「何様か!」いや、「子どもか!」とツッコみたくなる。 もちろん、テレビ局は困りはしない。TBS関係者に聞いてみると、 「そもそも4年後なんてどうなっているかわからないし、テレビ局だけじゃなく、どのメディアも同じでしょうが、面倒くさい、あるいはややこしい人は触れないでおこうというのが本心です。こちらから取材依頼することはないでしょうし、頼まれても断るでしょうね」 こうやって見ると、やはり石丸氏は面白い。 政治家として見たら賛否両論があるのだろうが、“政治家キャラ”のYouTuberと思えば腹が立つこともないだろう。今後、国政に挑戦する可能性についても取りざたされているが、国会議員は700人以上もいるのだから、こんな政治家が1人くらいいてもいいんじゃないか。 そして国会で“居眠りポリス”を敢行して、老害議員たちをたたき起こし、ガーシーの無念を晴らしてもらいたいものだ――。 文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
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