GT500史上初の3連勝で歴史に名を刻んだau TOMS坪井翔。前人未踏4連勝なるか? 開幕戦から46kg増も「チャンスはゼロじゃない。今回は優勝にこだわりたい」
4月に岡山国際サーキットで行なわれた2024年スーパーGT開幕戦では、シリーズ史に残る偉業が達成された。レースを制したのは2023年のシリーズチャンピオンである36号車au TOM'S GR Supraだったが、36号車は昨年の第7戦オートポリス、最終戦もてぎに続いて3連勝を記録したのだ。 【動画】2024 スーパーGT開幕戦岡山:決勝ハイライト(GT500) ドライバーラインアップは昨年の坪井翔/宮田莉朋組から坪井/山下健太組に変更となっているが、坪井にとっては3連勝。GT500クラスの同一チーム、同一ドライバーが3連勝を記録するのは、1994年にスタートしたスーパーGT(当時の名称は全日本GT選手権)の歴史で初の出来事。GT300クラスを含めても、1998年につちやMR2の鈴木恵一/舘信吾組が記録して以来の偉業だった。 レース後にそのことを人づてに知ることになった坪井にとっても驚きだったようだが、本人としても非常に誇りに思っているという。 「その話を聞いて、まずびっくりしました」 坪井はそう語る。 「年を跨いでしまっているのは何とも言えませんが、そもそも3連勝するのが難しいことは自分でも身をもって体感しています。それを人気のスーパーGTで成し遂げて歴史を刻めたのはすごく嬉しいことですし、今回4連勝がかかっているので、記録をさらに伸ばしたいと思います」 「史上初って、最高な響きだなと思います。この長い歴史の中で初めてのことを成し遂げるのは簡単ではないと思うので、そこは素直に誇りに思っていいのかなと」 これ以上ない良い流れで第2戦の舞台である富士スピードウェイに乗り込んできた36号車au TOM'S。ただ開幕戦のポール・トゥ・ウインにより、搭載するサクセスウエイトは46kgに及ぶため、好成績を残すのは容易ではないだろう。担当する吉武聡エンジニアも「順当に行けば、14号車(ENEOS X PRIME GR Supra)や17号車(Astemo CIVIC TYPE R-GT)のようなウエイトを積んでいないクルマが勝てるレースだと思います。さすがにキツいです(笑)」と苦笑した。 坪井も簡単な戦いにはならないことを自覚しているが、リストリクターによって燃料流量が制限される段階(51kg以上)には至っていない現状のサクセスウエイト値では、優勝するチャンスもゼロではないと自信をのぞかせた。特に4連勝がかかっていることもあって、目標を高く掲げて優勝にこだわっていきたいとした。 「チャンピオンシップのことを考えても、そして史上最多の4連勝にチャレンジする上でも、今回はすごく大事なレースだと思っています。歴史に名を刻むためにも何とか優勝したいです」 「(サクセスウエイト)46kgならまだチャンスはゼロじゃないかなと思っています。長いレースや初めてのフォーマットではトムスの強さが際立つと思っていますし、去年の鈴鹿戦(第3戦)では40kgを積んだ状態で優勝争いをして2位に入れています。コンディションと自分たちのパフォーマンスが合致すれば、優勝の可能性はゼロじゃないと思っています」 「46kgというのがどのくらいキツいかは未知数ですが、燃リス(燃料流量リストリクターによる制限)には入っていないですし、去年のオートポリス(第7戦)でも49kgで勝てています。キツいのはキツいんですが、岡山の開幕戦でしっかりぶっちぎりで勝てているので、その強さをしっかり発揮して何とか勝ちたいです」 「今までだったら『今回は表彰台(が目標)』と言っていたと思いますが、今回は4連勝もかかっていますし、優勝にこだわりたいです」
戎井健一郎
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