5度克服した男性が語る「がん治療が残した障害」 治療には必ずメリットとデメリットがある
今現在は、病気になる前(58キロ)と比べて少し少ないくらいの体重(55キロ)を維持できています。 体重はかなり戻りましたが、体力や筋力という面では、元の自分に全然及びません。外出が続くとすぐに疲れて寝込んでしまい、疲れが抜けるには何日もかかります。視覚障害があるため、電車での外出などは駅で通行人にぶつかってしまったり、階段で足を踏み外しそうになったりと注意が必要で、余計に疲れるという面もあると思います。
しかし、今思うのは、必ずしも病気になる前の元の自分に戻る必要はないということです。 ■今の自分ができる範囲で生活を組み立てればいい そもそも加齢の影響もあるはずです。焦って元に戻そうと思っても無理があります。 昔の自分を前提に考えるのではなく、今の自分ができる範囲で生活を組み立てればいい。例えば、外出の予定を詰め込みすぎない、電車での通院は妻に付き添ってもらうなど工夫すれば、生活上それほど困ることはありません。
そしてちょっと無理して疲れたら、体の声に素直に耳を傾けて、休む。そう考えて身体的にも精神的にも無理をしないように心がけています。 もちろん目標を持って体力作りをするのはよいことです。私もできるだけウォーキングをするようにしています。しかし、到達目標を〈元の自分〉のレベルに設定して、焦る必要はありません。 元の体に戻らなくても、自分であることには変わりないですし、結局は今のこの体でできることしかできないのです。焦るだけ無駄だと気がつきました。
余談ですが、私は臍帯血移植によって、血液型が元のB型からドナーの女の子のA型に変わっていますので、そもそも「元の体」に戻すことはできません(笑)。 ■以前は健康上の問題があることが許せなかった 今でこそ「無理せず、焦らず。病気になる前の体を目指さなくてもいい」なんて言っている私ですが、以前は100%の健康を目指している人間でした。 私は父と姉と妹をがんで亡くしています。家族のがん闘病を見てきた影響なのか、私は少しでも健康上の問題があるとすぐに対処しないと気がすみませんでした。