国内からのリピーター続々、京都の非公開空間での「人気朝食」が今年も
世界遺産「元離宮二条城」(京都市中京区)内で7月15日から、毎年好評の「朝御膳」がスタート。通常は非公開の特別空間での朝食はリピーターも多く、庭園を眺めながら湯葉づくしの京料理が楽しめる。 【写真】会場となる、通常は非公開の「香雲亭」 ■注目は朝廷&徳川家ゆかりの料理 桜や紅葉の時期以外も「二条城」の魅力を満喫できるよう、2017年から完全予約制で夏の朝食と冬のランチをふるまう人気企画。会場の「香雲亭」は京都の豪商・角倉了以の邸宅を移築した茶室で、目の前には緑あふれる和洋折衷の庭園「清流園」が広がる。 今回の「京のゆば粥御膳」(4200円)は、17年ぶりの「本丸御殿」公開(9月1日~)を記念し、宮廷文化や徳川家ゆかりのメニューが登場する。メインの「季節の逸品」は半月替わりで5種。 素揚げ茄子に味噌をのせて香ばしく焼いた「賀茂茄子しぎ焼き」(8月1日~15日)は後水尾天皇御幸のおもてなし料理を模したもの。徳川家康が出陣の際に食べたといわれる食材の「鮑と勝栗の茶碗蒸し」(9月16日~30日)など、季節感も演出したラインアップに。 料理は自家製の汲み上げ湯葉が人気の「京料理いそべ」(京都市東山区)が手がけ、揚げ浸し、真丈など湯葉料理が盛りだくさん。なかでも粥はまずそのまま食して大豆の豊かな風味を楽しみ、昆布山椒煮で味変させるのがおすすめとか。ほかにも、涼しげな青竹の器に小芋の香煎揚げ、海老甘煮、笹麩など京都らしい品が10種以上並ぶ。 ■9割以上が日本人客、リピーター多い理由は 「二条城」担当者によれば、「二条城」来場者の半数以上は海外観光客だが「特別朝食」受付は電話のみという状況もあり、来客は9割以上が国内から。京都ならではの朝食を好む40~50代以上の親子づれを中心に、全国からのリピーター率が高く、過去のアンケートでは「美しい庭を鑑賞できてよかった」「朝から落ち着いたよい気分になれた」と特別空間を喜ぶ声が多かったという。 担当者は「普段は喫茶の場しかないので、世界遺産の敷地内で本格的な食事ができるとあって週末は満席の日も。秋から見学が再開される『本丸御殿』の石垣や台所の屋根も見えるので『当時はどんな料理を作っていたのか』思いをはせながら楽しんでいただければ」と呼びかける。 夏の特別企画として7月24日~8月26日は「二の丸御殿」天井画・障壁画を間近で鑑賞できる「式台の間 特別入室」(火曜休み)、9月1日から宮家ゆかりの「本丸御殿」公開も控え、特別朝食後の散策も併せて楽しめそうだ。 「特別朝食」は7月15日~9月30日の朝9時15分~(60分間)。各日40組限定・入城料が別途必要。完全予約制(7月1日より「京料理いそべ」への電話予約)、参加希望日の前日・昼3時まで受付をおこなう。 取材・文・写真/塩屋薫