伊集院静が<雰囲気だけで生きる人>に送る警告。「蘊蓄に学閥。己の力量でもない傘の下で雨、風をしのぐのは大人の男らしくない」
◆この国の将来 なぜ日本人は投票に行かないのか? 日本人は、この国の将来がどうなるのかを真剣に考えていないのである。 いやそれ以前に“考える”とは“真剣”とは何なのかがわからないのではないか。 自分の希望、自分の声、自分の一票に価値を見つけられないでいるのだろう。 原発にしても、特定秘密保護法にしても、沖縄の問題、尖閣、竹島の問題……を、どうすることが正しいかがわからないのではないのか。
◆雰囲気だけで生きていては 日本人が誇りまで失ったとは言わないが、政治のことを一から考え直し、政治に参加する意味を問わないと、何もはじまらないだろう。 雰囲気だけで生きていては必ずしっぺ返しが来る。 スマホを初中後(しょっちゅう)、覗き、さわっている人が、私には、その雰囲気から離れるのが怖いだけのように思える。 ※本稿は、『風の中に立て ―伊集院静のことば― 大人の流儀名言集』(講談社)の一部を再編集したものです。
伊集院静
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