今なら渋谷で「なりたい自分を、見つけられる?」 日本HPがAI PCだけをそろえて体験にこだわる理由
“診断”から“体験”へ できる限りハードルは低く
まずは試しと設問に答えたところ、音楽制作が向いているとの回答を受け、該当コーナーにあるノートPCで、AIを使って作曲できる「SOUNDRAW」を体験した。 といっても画面に五線譜はもちろん楽器の姿すらなく、楽曲の長さやテンポ、ムード、そしてジャンルを選ぶだけで自動的に曲を作ってくれる。制作された楽曲はそのまま商用利用できるが、気に食わないところは楽器やキー、テンポを変えたり、楽器ごとのボリュームを調整したりと直感的に編集可能だ。 あえて3つのタイプのクリエイターに絞っているのは、冒頭で説明した「とにかく取っつきやすく、分かりやすくAIを体験してもらう」という方向性に沿ったものだ。 それだけに、既に生成AIで画像や動画を作ったり、業務に活用していたりする人からすると「これじゃない感」があるのはご愛嬌(あいきょう)だし、Copilotを活用するだけに出力された結果が「これじゃない感」があるのも避けられない。 しかし、こんなに簡単に使えるんだ、出力されたモノを利用できるんだというシンプルな驚きがあり、その体験こそがクリエイターエコノミーへの参加となる“第一歩”となるのだろう。 とはいえ、同社の動向を追っかけている身からすると、もう1つ避けて通れない疑問が浮かんでくる。
「HP AI Helix」や「HP AI Companion」があるじゃないか!
その疑問とは、同社自身が推進しているコンセプトにある。同社では、Copilot+ PCの要件を満たすモデルには新しいマーク「HP AI Helix」を付与しており、DNAのらせん構造をモチーフとしたマークを製品に付与している。 そして、同社が提供している独自AIアプリ「HP AI Companion」を利用できる。このHP AI Helixが付与されたPCにはHP AI Companionがプリインストール済みで、AIによって日々のタスクの質を高めることを目指している。 大きく分けて「Discover」「Analyze」「Perform」の3機能を備え、OpenAIが開発した言語モデル「GPT-4o」を活用して文章で質問すると回答してくれたり(Discover)、PCに保存されているユーザーの個人ファイルやドキュメントを効率的に分析して有用な情報を抽出してくれたり(Analyze)、PCのパフォーマンスを最適化(Perform)したりしてくれる。 つまり、OSが標準で提供してくれるCopilotよりも高機能なものを無料(HP AI Companionは「HPアカウント」の作成/ログインにより無料で使える)で利用できるわけで、ここは同社製PCならではのアドバンテージでもある。同社としてもここは課題と認識しているようで、まずはCopilotキーで簡単に呼び出せるMicrosoft Copilotを使ってもらい、物足りなくなったり不満を感じたらHP AI Companionへとのことだが、なかなかもどかしく感じてしまう。 これは同社製PCだけでなく、今後同様な機能を提供してくるであろう他社のPCでも発生するところではあるが、その前段階としてAIに触れてもらう、良さを実感してもらうというのが今なのだろう。 実際、このイベントも「AI、AIといろいろ言われていますが、まずは体験してもらいたいですね。特に日本の未来を担う若者には新しいクリエイター象に触れてほしいと思っています。ぜひ多くの人に来ていただければと」と担当者は語る。 同社は、PCの役割を「パーソナルコンピュータ」から「パーソナルコンパニオン」に変わるという前提の元で、続々とAI PCを投入している。 まだ、ラインアップもそろっておらず、周囲の環境整備も道半ばだが、PCを使ったAI機能の利活用は秒針分歩で進んでおり、まずは試したり体験したりしないと後れを取るばかりだ。 一見するとベタに思える本イベントだが、実はこのような体験こそが今、求められているのかもしれない。何より、新型のノートPCはAIうんぬんを抜きにしても魅力的だ。高い性能や長時間のバッテリー駆動を実現しているだけでなく、外観デザインも良好なまま、キーボード面も使いやすくなっている(カーソルキー回りが改善)。 「いっちょ新モデルでも触ってみるか」と気軽に訪れて、随所にツッコミを入れつつ楽しむというのが、HP AI ラボ in 渋谷を楽しむコツかもしれない。
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