【プレミアプレーオフ】浦和ユースのプレミア復帰を見守った古森さん ユースを見守る醍醐味は「応援したいというよりも、成長を見られる」
高円宮杯U-18サッカーリーグ2024プレミアリーグプレーオフ(参入戦)の決定戦が12月8日に行われ、京都サンガF.C. U-18(京都)を1-1(PK4-3)で下した浦和レッドダイヤモンズユース(埼玉)が2021年以来となるプレミアリーグ復帰を決めた。 【フォトギャラリー】京都サンガF.C. U-18 vs 浦和レッズユース レッズのレジェンドでもある平川忠亮監督が率いるユースチームがプレミア昇格を目指し、広島の地で死闘を繰り広げた。昨年、帝京長岡(新潟)に1-2で敗れ、昇格を逃した試合と同じ場所。先制しながらも後半に追いつかれ、その後も押し込まれる苦しい展開。それでも浦和ユースイレブンは粘り強く戦い、追加点を許さずにPK戦で勝利を掴み取った。 この日はJ1リーグ第38節が各地で行われ、浦和レッズは本拠地・埼玉スタジアムにアルビレックス新潟を迎え撃った。優勝の可能性はなく、残留もすでに決めた中での一戦だったが、長年レッズを引っ張ってきたFW興梠慎三とMF宇賀神友弥のラストマッチということもあり、埼スタには5万5814人が詰めかけた。 トップチームの大事な試合が浦和で開催されている中、"男塾"と呼ばれるユースのサポーターの一人、古森洋一さんは浦和ユースの選手たちをスタンドから鼓舞し続けた。応援団もいない。太鼓もない。それでも古森さんは大一番を戦う彼らを信じ、最後まで声を枯らし試合を見届けた。 「"去年の忘れ物を持って帰る"という目標が達成できて本当に良かった」 激闘を終え、歓喜に沸いている選手たちの姿を目に焼き付けた古森さんはそう言って頷いた。 1993年にJリーグが開幕し、すぐに浦和レッズに魅了された古森さん。"ミスターレッズ"こと福田正博氏にも魅せられ、夢中でトップチームを追いかけた。そんな古森さんがユースチームをみるキッカケになったのが、MF原口元気の存在だ。ユースで育った選手が、トップチームで活躍し、さらには世界の舞台に羽ばたいていく。 「応援したいというよりも、成長を見れることが自分の財産になる。それで原口が戻ってきてくれて、MF関根貴大もそう。そして今度はGK鈴木彩艶(パルマ)がビッグになっていく。そういうのを見ているのが楽しくてやめられない」 今年の浦和ユースはリーグ戦で前期は波に乗り切れず、一時はプレーオフ進出が危ぶまれたが、後期に入ると第11節から破竹の6連勝。第17節では無敗で優勝を決めていた東京ヴェルディユースを破り、最終節までもつれた矢板中央との競り合いを得失点差で制し、最後の一枠に滑り込んだ。まだまだ未熟な高校生。そんな彼らが一年の中でも、成長を遂げていく姿を見れる。これが"ユース観戦"の醍醐味なのだ。 「基本的にはトップチームを見ている時とスタンスは変わらないし、要求することも変わりません。ただ、子供たちなので、言っていい事といけない事は線引きしないといけない」 プロの選手たちがプレーするトップチームを応援している時と変わらないボルテージで、時には厳しい言葉も投げかける。それでも、一種の"親心"とも呼べる感覚を持って選手たちと接する。それが古森さんのスタンスだ。 「うち(ユース)は太鼓の応援もしない。それは上に上がってくるのを待っているから。トップに上る選手には"埼スタで声援を勝ち取って欲しい"とよく言っています」。あくまでもユースは、埼スタで大声援を受けるための通過点。 トップに上れず大学に進学する3年生たちには「戻ってきて欲しい」と古森さん。浦和ユースを見守るサポーターたちはユースを巣立った彼らのその後の活躍も願い、成長を追い続けていく。 (文=会田健司、写真=古部亮)