トラックの電子けん引や無人バス・タクシー、自動運転事業化へ実験活発化
国が策定した官民ITS構想・ロードマップを受け、自動運転システムの市場投入に向けた取り組みが進んでいる。新東名高速道路では、異なるメーカーのトラックを使用した自動運転システムによる隊列走行実験が世界で初めて行われた。1月30日~2月1日には北関東自動車道でも走行実験が行われる。
後続無人の隊列走行実現を目指し
トラック隊列走行実験は、経済産業省と国土交通省の委託事業で、日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスのトラックメーカー4社が参加。新東名の浜松サービスエリア~遠州森町パーキングエリアの約15キロを、各メーカーが開発した自動運転システムを搭載したトラックが3台で隊列になって走行、1月23日~25日の3日間で6.5往復した。 レーダーを用いて前方車両との車間距離を一定に保つACCと呼ばれる技術があるが、今回の実験ではACCに加え、車車間通信により他車の加減速情報を共有。より精密な車間距離制御を行うシステムであるCACC(※1)による隊列走行が行われ、先頭車両のアクセルやブレーキの制御が後続トラックに伝わる状況が確認された。 また、高速道路を自動運転システムで隊列走行した場合、他の走行車両からどのように見えるのか検証した。北関東自動車道では、上り坂や下り坂走行時の自動運転システムによる隊列走行について検証するという。 今回の実験は、すべてのトラックを有人で行ったが、国は2020年度に新東名で後続車両を無人にしたトラック隊列走行の実現を目指しており、2018年度には、後続トラックを無人(緊急時対応用のドライバーは乗車)にして隊列走行実験を行う予定。 無人の後続トラックは先頭トラックに電子的にけん引される状態となることから、後続無人トラックの隊列走行実験と合わせて電子けん引にかかる車両基準や免許、3台以上の連結を念頭にした25メートルを超える隊列走行の要件等についても検討する。 国は自動車メーカー、貨物運送事業者と連携して実験を進めている。隊列走行実現に向けた取り組みの背景には物流業界のドライバー不足や効率化がある。今回、異なるメーカーのトラックによる隊列走行実験は、複数のメーカーのトラックを使用する国内物流事業者の意向を反映した。 国は2022年度以降、高速道路(東京―大阪間)での長距離輸送で後続無人隊列走行を事業化させたい考え。しかし、高速道路を出た後はドライバーが必要になるため、ドライバー基地の設置も検討されている。実現までには技術面に加え、道路環境や施設整備、法整備面で課題はなお多いと言える。 ※1 CACC(Cooperative Adaptive Cruise Control):協調型車間距離維持支援システム通信で先行車の制御情報を受信し、加減速を自動で行い、車間距離を一定に保つ機能のこと(出典:国土交通省)