好調・巨人の開幕独走はあるのか?
巨人が理想的な開幕ダッシュを決めた。9試合で7勝2敗。そのうち3試合は延長戦を制した粘り強い勝利。他球団の監督が、「巨人が勢いに乗っている」と認めざるを得ないほど、投打の歯車が噛み合っている。 開幕前には、野球賭博関与問題でチーム内外が揺れ、キャッチャーに戻して主軸を担うはずの阿部慎之助が間に合わずに、先発3本柱のマイコラスも故障離脱と、マイナス要素ばかりが目立ち、多くの評論家が優勝予想から巨人の名前を外した。だが蓋をあけてみれば、左が打てないと不安視されていた新外国人のギャレットが、打率.313、4本、9打点と大当たりで、ロッテから移籍したクルーズも額面通りの活躍を見せて課題だった打線がつながっている。 ギャレットは、ミートポイントがかなり手前で今のところ外国人が苦手とする左右、高低の揺さぶりにも対応力を見せている。メジャーに比べてフォーシームのスピードが平均してNPBでは落ちるため、そのことがギャレットにとってプラスに働いている。 評論家の池田親興さんも、「投打の軸がしっかりとしていて、開幕の9試合では、打線に立岡という首脳陣の期待以上の活躍を見せる選手も出てきた。クルーズ、ギャレットという“決める選手”がいるため、長野、立岡の1、2番に“出塁すればいい”“つなげばいい”という意識が強くなり、そのことが打線の好調さにつながっていると思う。また開幕前のスキャンダルで“野球でしっかりとした姿を見せるしかない”と、選手が責任を感じて自覚、まとまりが生まれたのかもしれない」と分析している。 3日の広島戦の延長で勝負を決めるV打を放った2番打者の立岡は、打率.364、2本塁打、4打点の数字を残し、現在、ベストテンの5位につけている。 またクルーズに関しては、池田さん曰く、「クルーズは、“QVCマリンから風のないドームを本拠地にするチームに移ったことで守備でもいらぬストレスがなくなった”という話をしていた。QVCマリンを襲う浜風の恐怖から逃れたことが、打撃にも好影響を与えていると思う」との好調理由があるという。 苦しいと言われた先発陣も、クオリティスタートを守れなかったのは、30日の横浜DeNA戦でプロデビューを飾って4失点したドラフト1位の桜井だけ。現在、右肘の違和感で2軍調整となっているが、4回までは無失点で、十二分に可能性は感じさせた。中継ぎ、抑えに関しては、山口、マシソン、澤村の3人が、決してパーフェクトとは言えず、まだ全盛期の鉄板ぶりではないが、投打のバランスは悪くはない。