市和歌山、けがでアルプス席の「背番号2」 夏への誓い センバツ
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)第9日の28日、市和歌山は大阪桐蔭に大差で破れ、ベスト4進出は果たせなかった。アルプススタンドには、甲子園で背番号「2」をつけることを夢見ながら、けがで出場がかなわなかった小畠(こばた)朝日さん(3年)の姿があった。悔しさを胸に秘め、仲間たちを応援した。 【市和歌山vs大阪桐蔭 熱戦を写真で】 ◇ 小3から野球を始め、強肩を生かして主に捕手を務めてきた。市和歌山では、後にプロ野球・ロッテにドラフト1位で入った松川虎生(こう)捕手(18)が1学年上におり、正捕手争いは激しかった。 きちょうめんな性格を生かして配球を学び、投手とのコミュニケーションを心掛けるなど、地道に練習を重ねた。公式戦に初出場したのは2021年9月12日の新人戦。背番号「16」でキャッチャーマスクをかぶった。 秋季大会和歌山県2次予選。小畠さんは同月25日の1回戦から背番号「2」で先発出場した。米田天翼(つばさ)投手(3年)とのバッテリーで相手打線を完封し、新チームでの手応えを感じ始めていた。 その3日後のことだ。体育の授業で跳び箱の着地を誤り、左膝に激痛が走った。病院での診断は前十字靱帯(じんたい)の断裂と半月板の損傷。全治8カ月の大けがだった。 松葉づえをついて学校へ戻ると、半田真一監督らが校門で迎えてくれた。初めて正捕手として起用してもらったのに、期待に応えられない悔しさとふがいなさ。「すみません。(チームを)サポートします」。涙がこぼれ落ちた。 けがの1カ月後に手術し、22年1月末には左膝を守っていた装具も取れた。今は週に3~4日、2時間半のリハビリに通う。ダッシュなどの激しい動きはできないが、練習に参加して気付いたことを仲間に指摘したり、ウオーミングアップのタイムキーパーを務めたりしてきた。半田監督から「腐るなよ」と温かい声をかけてもらったことが心の支えだ。 27日の明秀日立(茨城)戦。秋にバッテリーを組んだ米田投手はサヨナラ打を放ち、投げても9奪三振の活躍を見せた。28日は大阪桐蔭の猛攻に苦しんだが、選手たちは最後まで諦めず、応援団はオレンジ色のメガホンを振り続けた。 小畠さんは仲間の姿に「自分もグラウンドに立ちたかった」と目を細め、こう誓った。「夏は先発メンバーとして必ず甲子園に戻ってきたい」【橋本陵汰】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。