ロッテ・種市篤暉、中心投手としての自覚「7回では降りられないなという感覚」、「僕が背負っていくぐらいの気持ちで投げたい」
「交流戦明け初めての登板になりますし、僕自身ホークス戦が今シーズン初めての登板になるので、いいイメージでマウンドに上がれるように、交流戦同様のピッチングがができるように頑張ります」。 ロッテの種市篤暉が14時から行われるソフトバンク戦に先発する。種市は前回登板の6月14日の中日戦、7回・110球を投げ、7被安打、10奪三振、2与四球、3失点で勝敗つかずだった。 前回登板で光ったのが“縦スライダー”。「良かったですね。良かったです」と振り返ったように、1-1の4回無死一、二塁で中田翔を2ストライクから空振り三振に仕留めた3球目の138キロ縦スライダーはストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちで、2-2の5回一死走者なしで福永裕基を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた5球目の138キロ縦スライダーも同じようにストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちだった。 6月12日の取材で「データ見ても縦変化している数値をしていたので、あれを毎回2ストライク後に投げられたらいいなと思っています」と話していた縦スライダーで10奪三振中3三振奪った。 6月は2試合・15回を投げ、イニングを上回る19奪三振。前回登板は今季最多の1試合10奪三振だった。三振が増えているのはストレートで見逃しを奪えていること、縦スライダーでも空振りが奪えていることが要因なのだろうかーー。 「個人的にはスライダーが僕の中で一番、今のところ重要になってくるのかなと思いますし、19年、20年スライダーがすごく良かったので、どんどんよくなってきているのかなと思います」。 ストレートも0-0の初回一死二、三塁で細川成也に投じた初球のインコース150キロ見逃し、2-2の5回二死二塁から細川に2ボール2ストライクから投じた5球目のインコース152キロ見逃し三振が良かった。 「インコースに関しては本当にラインが見えているというか、いい感覚で5月から投げられている。そこに関しては良いと思いますし、最近やっぱり力みがちなのでそこだけ注意していきたいなと思います」。 フォークに関しても、1-1の4回先頭の先頭の細川に投じた初球、見逃しを奪ったインコース140キロが良かった。本人も「良かったと思います。あれ(シンカー系のインコースフォーク)はずっと練習しているんですけどね。難しいな、できるように頑張っていきたいと思います」とのことだ。 右打者のインコースのシンカー系フォークはカウント球、勝負球でも使っていきたいのだろうかーー。 「カウント球で使えたらどっちでも真っ直ぐでも変化球でもいける状態になるのかなと思います」。 カウント球でストライクゾーンに投げるフォークに関しては「精度はあんまりよくないかなと思っています。宇佐見さんに打たれたフォークも初球ちょっとワンバウンドして、高めに投げようと思って浮いたのが打たれてしまった。心理的にも低めに投げるべきだったのかなと思います」と反省した。 それでも、5月以降は素晴らしい投球を披露し続けている。それは、良いストレートが投げられているからフォーク、スライダーも波及して良いのだろうかーー。 「そうですね。やっぱり真っ直ぐ意識している分、そんなに落ちなくても空振りしてくれる印象があるので、そこに関しては良いことかなと思います」。 日々進化を続ける中で、今は状態が良いが、そこを基準にもっともっと自身の基準点を高くしたいイメージなのだろうかーー。 「そうですね、基本的にはHQSできるように僕の中では一つ置いているので、7回では降りれないなという感覚にはなっていますし、できるだけ最低限7回、8回投げられるように。球数も少なくなってきているので、そこは頑張りたいなと思います」。 現在首位・ソフトバンクと10ゲーム差の3位。チームがリーグ優勝するためには、種市が投げる試合は全部勝つくらいの気持ちで投げてもらう必要がある。「大きいことは言えないですけど、僕が背負っていくぐらいの気持ちで投げたいなと思いますし、最低限7回、8回投げて、“種市だったら勝てる”くらい思ってもらえるピッチャーになりたい、なっていきたいと思います」。中心投手としての自覚が芽生えてきた種市は、きっとチームを勝利に導く投球を見せてくれるはずだ。 取材・文=岩下雄太
BASEBALL KING