〈“カオス”東京24区〉「国会議員はみな脱税してる」松井一郎氏、安倍元首相の生前映像も萩生田氏を“応援” さらに「左翼は出ていけ」の応酬も…
裏金問題で自民党の公認を得られなかった萩生田光一・元政調会長と、旧統一教会問題でも萩生田氏を追及する立憲民主党公認のジャーナリスト有田芳生氏が激突する衆院東京24区。維新元幹部に加え、故・安倍晋三元首相の「生前の録画映像」も動員して支持固めに走る萩生田陣営に対し、有田陣営には自民党の元衆議院議員が加勢。なんでもありの攻防戦は最終盤へ――。 〈画像〉安倍晋三元首相の遺影や安倍昭恵さんと共に写る萩生田氏
「この選挙区に維新の会の候補、出てると知らなかったんです」
「みんなパーティー券の不記載ばっかり言って脱税行為だって言っているけど、そんなこと言えばね、国会議員、全員脱税しているんです、今」 JR八王子駅前で萩生田氏と並んだのは日本維新の会の前代表で前大阪市長、松井一郎氏だ。パーティー券収入を還流した裏金問題で、萩生田氏は2728万円と議員の中で3番目に額が大きかったため、石破茂執行部は党の公認を出さなかった。 萩生田氏がこの問題の払拭に追われる中、助っ人の松井氏は、「国会議員に支給される月100万円の調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途の公開義務がないことこそが問題」だと持論を展開した。 じつは維新はこの東京24区で候補者を立てている。だが、松井氏は維新創設前の自民党所属時代から20年来の付き合いだという萩生田氏が生き残ることが維新の議席獲得よりも大事だとの意思を鮮明にした。「この選挙区にね、維新の会の候補、出てると知らなかったんです」と弁解しながら笑いも取った。 街宣車の上に立つ萩生田、松井両氏の背後には「生き恥晒すな 裏金 はぎうだ 2728」と非難する文字や旧統一教会を象徴する壺の絵が描かれた大型のプラカードが出現。 「恥知らず」「落選、落選、落選」とヤジが連呼されたのに対し、萩生田氏の支持者は「左翼は日本から出ていけ」と応戦し、演説会は荒れた。
「前任幹事長が応援に入ったことは現執行部への当てつけ」
萩生田氏には茂木敏充・前幹事長や小林鷹之・元経済安保相ら知名度の高い要職経験者が次々と応援に入っている。 「現幹事長の森山裕氏は小泉進次郎・選挙対策委員長とともに萩生田さんを公認から外せと石破首相に働きかけた中心人物と言われています。そんな中、前任の幹事長が応援に入ったことは現執行部への当てつけに近い」と自民党関係者は話す。 さらに萩生田氏の事務所は10月23日、萩生田氏が腹心として仕えた安倍氏が過去の選挙で萩生田氏を応援した映像をXで公開した。画面の安倍氏は「いまこそ確固たる国家観を持った、そして政策に通じた、いざというときに闘う覚悟を持った萩生田光一を日本は必要としています」と支援を訴えている。 萩生田陣営は安倍昭恵夫人を集会に招いたり、安倍氏の遺影をSNSに上げたりしてきたが、この“安倍頼み”をさらに強めた形だ。 ある社会部記者は「陣営の危機感の表れですね。10月2~6日の自民党の世論調査では有田氏が萩生田氏に4ポイント程度先行していましたが、これが11~13日の調査では萩生田氏が逆転し9ポイント程度上回りました。 しかしまた情勢が変わり、有田氏が完全に並んだとみられています。各メディアの調査ではともに支持率37%程度で横一線。勝負は24日からの最後の3日間にかかっています」とみる。 また、地元の自民党関係者は「萩生田さんは22日に小林元経済安保相が訪れた会合を最後に、SNSによる街頭演説の事前告知をしなくなりました。 応援弁士なしで開いた街頭演説会の集まりが悪いので、小規模演説会を重ねるドブ板選挙に徹しています。 一方、公明党の地元選出の地方議員らは大阪へ飛んでます。公明党にとっては大阪で最大の敵の維新に勝つことが最優先。松井さんが八王子で応援したことは萩生田陣営には逆効果になるかもしれない」と話す。