「さらばWintel」、デジタル産業革命は次のフェーズへ
■NVIDIAとMicrosoftの発表が象徴するIntelの苦境 NVIDIAの決算発表は、4月のIntelとAMDの決算に続くものとして業界が注目するイベントだったが、これらを総合するとIntelの苦境が鮮明になってくる。x86命令セットCPUのユーザーベースはPCからサーバーに至るまで、依然として巨大な経済圏を構築していて、ユーザーベースの変化は俄かには見えにくい。 しかし、その中では静かに主役の交替が起こっている。昨月のIntelの決算発表で明らかになったのは、CPUの売り上げでIntelが依然として大きくPC市場に依存していることだ。そこにきてMicrosoftからの決別のメッセージはIntelにとっては痛恨のものだったに違いない。データセンターのサーバーCPU市場ではAMDに着実にシェアを奪われ、CPUベースのノードの多くがGPUに置き換わりつつある。長年の半導体業界での覇者Intel凋落の流れを止めるべく3年前にIntelに舞い戻りCEOに就任したPat Gelsingerの手腕には大きな期待がかかるが、4月の冴えない決算発表に業を煮やした株主・アナリストの中には、CEOの交代を求める論調が出始まっている。 Intelがこのまま凋落し続けるとは考えにくいが、「さらばWintel」が厳然たる現実であることは確かだ。 ■ 吉川明日論 よしかわあすろん 1956年生まれ。いくつかの仕事を経た後、1986年AMD(Advanced Micro Devices)日本支社入社。マーケティング、営業の仕事を経験。AMDでの経験は24年。その後も半導体業界で勤務したが、2016年に還暦を機に引退を決意し、一線から退いた。
吉川明日論