井之頭五郎のおひとり様ランチがうれしい 全方位ch
今さら…と思われるかもしれないが、ついつい見てしまう番組に「孤独のグルメ」(テレ東系)がある。輸入雑貨商の井之頭五郎が全国各地の営業先で一人、食事を楽しむ様子を描いたドラマともドキュメンタリーともエンターテインメントともいえる番組で、平成24年から始まったそうだから、かなりの長寿番組である。 【写真】「孤独のグルメ大晦日スペシャル」で沖縄に上陸した主人公・井之頭五郎 偏見かもしれないが、会社員の中年男性が一人でランチをしている姿はどこかわびしさがつきまとうものだ。この番組の何に引かれるかといえば、初回からずっと松重豊が演じている五郎が、食事を心から楽しんでいるところである。 時には取引先からの誘いを断ってでも、一人で食べに行く。この姿勢が好きだ。どこで食べようか、何を食べようかと熟考した末に、運ばれてきた料理を一口食べたときの五郎の至福の表情は、見ていてうれしくなる。 仕事柄、一人で食事をする機会はとても多い。もともと食べることが大好きなので、全く苦にならない。それどころか、昔から友人と好きでもないものを食べるより、一人でおいしいものを食べたいというわがまま気質で、「孤独のグルメ」はまさにわが意を得たりの番組であった。 最近「おひとり様」という言葉が市民権を得ている。かつて一人ではなかなか行きづらかった温泉旅館に宿泊したり、焼き肉店に気楽に入ったりできるようになった。聞けば、日本ほど、「おひとり様」がいろんな楽しみを享受できる国は珍しいのだという。 そういえば昔、一人旅で韓国やイタリアに行ったときのこと。外へ食事に出ると、みんな、仲間や家族とワイワイおしゃべりをしながら、楽しそうに食事をしていた。一人で食べている人はほとんど見かけず、他人の目が気にならない私も、さすがにこの2つの国での夜の食事は寂しく感じたのを覚えている。 「孤独のグルメ」と同じテレ東系で、「ソロ活女子のススメ」という番組も放送されていた。江口のりこ扮する五月女恵(さおとめ・めぐみ)が一人で温泉やキャンプ、ホテルでの生活を満喫するという内容で、一人を楽しむ極意はいろいろと参考にさせてもらった。 「おひとり様」が心地よい日本は、私には何だかとっても住みやすいのである。(典)