【痩せすぎなアイドル】「38.5キロ?え、太った!」体重が増えるのが怖い!?食べたい欲求と食べてしまった罪悪感のせめぎ合いを描く【漫画家に聞く】
体重、コレステロール、BMI…体型を表すさまざまな数値。いっぱい食べたときは幸せを感じるけれど、その後、食べたカロリーが頭に浮かび「食べなきゃよかった…」と激しい罪悪感に襲われる。現在、アイドルグループ「もち推し」のメンバーとして活躍する凪は、昔は体重が70キロ以上あった。「いっぱい食べる女の子が好き」といった男の子は、細くてかわいい女の子と付き合っていたし、みんな細くてかわいい女の子に憧れる。そうして凪が手に入れたのは、30キロ台のガリガリにやせ細った体。頑張って体型を維持しているように見せているけれど、実は影で摂食障害を繰り返していて――? 【漫画】本編を読む 本作は、あめみくろ(@ammkr2222)さんの「もちろん推してね!?」に収録されている「ふつうに食べられなくなったアイドルの話」を一部抜粋してXに投稿したもの。今回は、漫画家・あめみくろさんにインタビューを行い、制作のきっかけやこだわりについて話を聞いた。 ■72キロから3年かけて37.5キロまで痩せたアイドルの話 凪は昔太っていた。ウエストはパンパンだし、体育では笑いもの、ランチを食べていると「それで足りるの?」という男子もいた。「いっぱい食べる女の子、俺は好きだよ」といった男の子は、結局細くてかわいい女の子と付き合っていた。 少しずつダイエットを始めた凪。食べることを抑制すると、反動でいっぱい食べたい欲求と戦うことに。食べてしまうと、強い罪悪感に襲われた。「かわいくなりたいのに、瘦せたいのに」欲求に負けてしまう自分が許せなくなっていった。 ■みんなが共通して持っているような悩みを突き詰め、煮詰めていった 本作はもともと肥満だった女の子がダイエットを始めたものの、精神的に心を病んでしまう話。若者のなかには、肥満でもないのに「自分は太っている」と思い込んでいる人も多いのではないだろうか。周りの友達が細い、母親や家族から体型に関する批判的なコメントを言われたなども、考え方を変えてしまう要因のひとつのようだ。 ――アイドルという仮面をかぶって、笑顔の裏側で闇を抱えている少女たち。「もち推し」のメンバーのそれぞれの闇を簡単に教えてください。 1話のれいなはルッキズム、2話の萌はホス狂い、3話の凪は摂食障害、4話の詩乃は宗教二世です。リーダーは、ぜひ本編で読んでいただきたいです。 ――整形や摂食障害など、女の子が陥りやすい沼を描いています。それぞれ、どのような理由からでしょうか。経緯があれば教えてください。 みんなが共通して持っているような悩みを煮詰めた感じで、それぞれお話にしました。ちょっとでも共感できるところがあったらうれしいです。 ――今回は、痩せたい欲求が強い女の子を描いています。描くうえで大変だったことはありますか。 痩せていく過程を描く点が1番大変でした。あまり広まらないほうがいい手段ですが、よりリアルに描きたかった部分でもあるので、凪のありのままを描きました。 ――「いい注意喚起になる」「根本を治さないと」などのコメントが届いていますが、いかがでしょうか。 注意喚起というより1人の女の子の悩みというイメージで描いたのですが、意図せずに注意喚起のようになっていたのなら、結果的によかったかなと思います。推奨しているわけではないので、そこはご理解いただけたら幸いです。 ――8.5万いいねと大きな反響がありました。感想をお聞かせください。 たくさんの反応、本当にありがたいです。いろいろな意見も届いていて、同じように悩んでいる人同士が「自分だけじゃないんだ」とちょっとでも安心できたなら投稿してよかったなと思います。 ――そのほかにお知らせなどがあれば、お願いいたします。 今回インタビューしていただいた漫画「もちろん推してね!?」上下巻、発売中です。ぜひ、リーダーのお話まで読んでいただけたらうれしいです! 周囲から「かわいい」「細い」と言われれても素直に受け入れられないなど、凪は自分の本当のかわいさを見失っていた。SNSでのコメントも彼女を追い詰めた。美しさは個々の感覚によって異なるものだが、本作はまだまだ世間の「痩せていることが美しい」というルッキズムの問題に向き合っている。 取材協力:あめみくろ(@ammkr2222)