「地面師たち」は近くに存在する? 不動産取引における最新の詐欺手法や対処法を解説
地面師以外の不動産詐欺の手口
地面師詐欺は、不動産会社のようなプロを標的とした詐欺行為です。一方で、不動産取引には、一般消費者を相手取った多くの詐欺が存在します。いくつかの手口をご紹介します。 手付金詐欺 詐欺師が正当な売り主を装い、買い主と売買契約を結びます。通常、手付金は売買価格の5~10%程度です。契約後、詐欺師は連絡を絶ち、手付金を持ち逃げします。被害者は金銭的損失だけでなく、希望していた物件も失うことになります。地面師同様、売り主の身元確認や不動産の権利関係を十分に調査することが重要です。 二重譲渡 同じ物件を複数の買い主に売却するというものです。最初の買い主に売却した後、登記移転前に別の買い主にも売却します。結果として、後から購入した買い主は物件を取得できず、支払った代金を失う可能性があります。 原野商法 古典的な手口ですが、今でも形を変えて行われています。将来的に価値が上がる可能性がある土地として、実際には価値のない土地(多くの場合、開発が困難な山間部や湿地帯)を高額で販売します。偽りの開発計画や将来の価値上昇を誇大に宣伝することで、買い主をだまします。 工事詐欺 工事を請け負って着手金だけもらって逃げてしまう手口です。被害者は金銭的損失だけでなく、必要な工事が行われないという二重の被害を受けます。 インスペクション詐欺 比較的新しい手口で、建物検査(インスペクション)を悪用するものです。例えば、実際には問題のない箇所を「要修繕」と判定し、不要な工事をすすめるといったケースや、点検と称して家の設備や屋根を破壊して、修繕工事を行うといった手法があります。
不動産会社の身近に存在する詐欺やグレーゾーンの事例
私自身不動産業界で長くいますが、詐欺被害に遭ったことも加害者になったこともありません。しかし、業界内でさまざまな事例を耳にしてきました。 事故物件や訳あり物件の販売 たとえば、事故物件や訳あり物件などの”告知事項”がある投資物件を買ってリフォームし、何も言わずに販売するといったケースは10年~20年前まで結構ありました。 今では「大島てる」のような事故物件サイトで調べられるようにもなり、なかなかやりづらくなった手法ですが、 全ての告知事項を網羅しているわけではありません。地方の人が東京の投資物件を買うといったケースでは、分からないまま買ってしまうケースはいまだにあるようです。これも立派な詐欺の一つです。 投資物件の内見を拒否する理由 投資物件つながりでは、ある同業者は投資物件の販売において、購入検討者から物件の内見があると拒否するそうです。 理由を聞くと、まるで優良誤認させるような方法で物件を提案しているため「見せたら決まらない」と豪語していたそうです。法律的な罰則はないかもしれませんが、明らかに問題のある悪質な販売手法です。