国産材だけを使った家造り、福島の注文住宅販売会社「四季工房」
福島県にある四季工房という注文住宅の販売会社をご存じだろうか。郡山市に拠点を置き、東日本各地に展開している。1982年に創業し、環境に優しく、国産材だけを使った特徴のある家造りと経営方針で多くの顧客の支持を集めている。 社長の野崎進氏(65歳)が、「自分が昔住んだ家は以前はとても嫌だったが、実際に自分で家造りをしてみて、実は立派ないい家に住んでいたんだと思い至るようになった。そんな家をつくってみたいと思いました」との考えから、本物の住まいを追求し、住んで心から満足でき、住み心地もいい家を追い求めてきた。
四季工房の考え方の柱は、環境への配慮と誠実な販売姿勢にある。木材は国産材(マツは青森と岩手、スギやヒノキは福島、岩手、宮城、茨城産が中心)を100%使用し、職人は地域の大工や左官を活用して家づくりを行っている。 資材はプレカット(木造住宅の柱や梁の継ぎ手などを事前に機械などであらかじめ加工すること)されたものではなく、1本の木から職人が木のクセを読みながら、柱や梁、天井板、床材、カベ材などを「手刻み」で切り出している。素材と向き合って丁寧に作業するのが特徴だ。 家の構造には、通気性を良くし、空気の流れの効果で夏は涼しく、冬は暖かい「エアパス工法」と呼ばれる住宅システムを実現した。住む人に通年で居心地のよい快適な住環境を提供している。このほか、前述の「手刻み」の伝統工法を用いることで、わずか30年程度住んで壊してしまうような家ではなく、海外のビンテージ・マンションのように100年以上住み続けられる家づくりを目指している。 こうした試みに加えて、人材育成にも積極的に取り組んでいる。重視しているのは、「手刻み」の技など伝統工法を次代に継承するための大工の育成だ。現在、20名人をこえる若者が、普段はそれぞれ自分の親方と同じ現場で働きながら、月に一度全員が集合して、加工場で実習や講義を受けたり、寮で共同生活したりしている。 家造りの職人の後継者育成に対する支援なども熱心に行っている。後継者不足に悩んでいる地域の職人たちに、若い見習いの人に支給する給料を補助する制度を設けているのだ。その結果、大工さんの息子や親戚の子供など数十名の若者が弟子入りしたという。