男子バレーはリオ五輪出場権を得るために逆襲できるか? 山本隆弘氏に聞く
――オーストラリア戦は? 「エースのトーマン・エドガーの状態が良くないと私は見ている。イラン戦も2セットを奪われるまで出てこなかったし、サーブもジャンピングサーブを打たずにフローターサーブにしている。腰にベルトを巻いていたし、どこか故障でもしているのではないか。明日、明後日のゲームを見てみなければわからないが、ワールドカップの時点でのチームよりもパフォーマンスは下がっているはず」 ――山本さんの描く日本の五輪出場の青写真は? 「ポーランド、イラン、オーストラリアの3連戦を2勝1敗でいけば、カナダ戦で五輪が決まると思う。そこで勝ち点2、もしくは3を奪えば決定という展開になる可能性が高いと読んでいる。ただ、そのカナダはワールドカップでは3-0で勝った相手だが、完璧なバレーができただけの話で、ひとつ間違えば0-3で負けてもおかしくないチーム。 今大会の出場チームで日本が、力対力の勝負で勝てるチームはひとつもない。いかに戦術を練り、そのプラン通りにゲームを進め、相手に100パーセントの力を出させないようにするかに尽きる。サーブのターゲットを決め、正確で強いサーブで攻め、攻撃の枚数を減らしてブロックを絞る、そしてレシーブの配置。さらに重要なのが、リバウンドを取りながら、いかに粘り強く、いい状態になるまで我慢できるか」 ――ラリーに持ち込めば、勝機があると? 「ラリーさえ続ければ相手のミスの確率が高まる。かつてのブラジルがそうだったが、個々のスパイク決定率が30パーセントでも、リバウンドを取りながらいい状態になるまで粘り、ラリーで決着をつけるというバレーで勝っていた。日本もそういう我慢のバレーが本来の強みだったはず。高さとパワーでは勝てないのだから、戦術、サーブで崩すトータルディフェンス、そしてリバウンドを根気強く取り続ける我慢がキーワードになってくる」 ――最後に。リオ五輪出場は可能か? 「私は十二分に可能性があると見ている」 《山本隆弘》 1978年、鳥取生まれの37歳。鳥取商から日体大を経てVプレミアリーグのパナソニック・パンサーズでプレー。全日本のサウスポーエースとして、2003年のワールドカップでは、ベストスコアラーとMVPを獲得するなど活躍。2008年には北京五輪に出場した。2012-13年をもって引退。現在は、バレーボールの解説や普及活動だけでなく、幅広くスポーツやメディアの現場で活躍、鳥取市の「シティセールススペシャルサポーター」としても活動している。