レンタル移籍で球界活性化!?巨人育成右腕・木下幹也が昨季くふうハヤテ派遣で「いい経験ができた」
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 出場機会拡大の新たな選択肢になる―。昨年一つの“レンタル移籍”が実現していた。巨人の育成・木下幹也投手(22)が「ファーム・リーグ参加球団規程」に基づき、ウエスタン・リーグのくふうハヤテベンチャーズ静岡に7月から派遣。流動性が高まることで球界の活性化につながるのでは、と考えさせられた。 野球ではレアな期限付き移籍。契約や規定が異なるため一概に比べられないが、サッカーでは所属チームの契約を保持したまま期間を定めて他のチームでプレーするレンタル移籍は一般的だ。機会に恵まれない選手が実戦を積み、開花する事例は多い。 育成4年目だった木下は7月まで3軍戦10登板で防御率0・85をマーク。しかし、厚い選手層に阻まれ2軍では2登板。ハヤテに行くことで主にアマ相手の3軍戦ではなく、プロ相手の2軍戦で投げられた。2か月でウエスタン8登板、防御率1・29。「2軍で登板が少なかった状況で派遣の機会をくれていい経験ができた」と振り返る。 育成選手はファーム公式戦に1試合5選手しか出場できないだけに、試合経験を積める意義は大きい。別のチームの文化を肌で感じて得るものもある。利点の多い今回のような派遣が今後活発になるかもしれない。 その先にはさらなる発展の可能性もある。木下のケースはあくまで1軍戦がないハヤテへ育成選手としてだった。現状、NPB12球団間での期限付き移籍の制度化へのハードルは高い。契約形態、査定、内部情報など…。それぞれの球団の考えや利益を推し量る必要があるが、チーム事情で“飼い殺し”のようなかたちで埋もれるのは何より選手にとって痛い。22年から始まった現役ドラフトでは出場機会が少なかった選手が移籍をきっかけにブレイクもしている。新制度による成功例も出ている今、レンタル移籍なども柔軟に考えるべき時が来ている。(巨人担当・宮内 孝太) ◆宮内 孝太(みやうち・こうた)2022年入社。23年から巨人担当。小学4年から高校まで9年間野球を続け、大学ではラクロス部。
報知新聞社