大学のサークルがきっかけで「パワーストーン」に取り憑かれた、43歳男性の末路…得体の知れない不安が襲う
再び孤独に陥った
「ショックすぎてね。先輩は僕と同じ経済学部でもあったので、いろいろ教えてほしかったんです。でもたまにサークルに来るだけで、大学の授業にも出ていたのかよくわからなくて……そういえばパワーストーンをもらったのは僕だけだったらしくて、それも謎でしたが。 僕はサークルはだんだん行かなくなりました。そのあたりが自分のダメなところだというのはわかっているんです。 でも、人づきあいに慣れていないから、先輩がいなくなったらプツリとやる気もなにもかもなくなってしまった。学校にはなんとか行き続けて、クラスの人ともなんとなくその場のつきあいは続けました。 先輩と連絡がとれないまま夏休みが終わろうとしていて、あるとき、新宿をぶらぶらしながら風俗店に入りましてね。初体験はそこで。でも、なんか嫌だったな。相手は老けたオバサンだったし、いかにも“そういう場所”。恋愛とは程遠い。 お店を出て、なんか悲しい気持ちでカフェでお茶を飲んで気持ちを落ち着かせて帰宅したのをよく覚えています。 結局、自分は九州にいたときとなにも変わらなくて、友達も恋愛もうまくいかず、やりたいことすら見つけられないダメ人間なんだなと、ちいさな敗北感を感じた夜でした」 恋愛をしたい。でもできない。キャバクラにも行ってみたが、風俗に行ったときのような後ろめたさがあるし、第一金銭的に続かない。こんなことよりと先輩がくれたスピリチュアルな石の世界に興味を持つようになった。 「パワーストーンはどこで売っているのか、どんな種類があるのかなどを、あれこれ調べましたよ。当時はネットが今みたいに発達していませんでしたから、主に書店や図書館で情報収集をしました。 調べるうちに、世界のパワースポットやUFOや、前世や来世に興味を持つ人たちとパワーストーンとのつながりを少しずつ知ることができました。 銀座や新橋など、世界中の石を置いてあるという情報を得るとあちこち行きましたよ。すると、キレイでいろんなカタチの石が並んでいてね。先輩がくれた石も見てもらったんですけどね。 黒曜石というチープな石でした(笑)でも、それはそれで大事な石で、それとはまた別に、はじめて見る石たちにほれぼれしてしまいましてね。高いものほど魅力的に見えました」