豊かな表現力を生かした“喜怒哀楽”の表情を披露する増田梨沙（カメラ・頓所　美代子）

　人気子役の増田梨沙（１０）が、１２日スタートの日本テレビ系「放課後カルテ」（主演・松下洸平、土曜・後９時）で連続ドラマに初レギュラー出演する。このほど、スポーツ報知の取材に本作出演の意気込みや、初挑戦となった“泣きの演技”の見どころを語った。（奥津　友希乃） 　ＮＨＫ　Ｅテレの人気番組「みいつけた！」で４代目スイちゃん（１９年４月～２４年３月）として知られる実力派子役が、ドラマの世界でも本領を発揮する。 　「放課後―」はオーディションを経て、初レギュラーを射止めた。ちょこんと座った椅子から足をぱたぱたと動かし、「わーい！って、うれしすぎて跳びはねちゃいました」と喜びを表現。「ドラマでこんなに長いセリフをもらえるのは初めて。その夜は『早く撮影に行きたいなあ～！』ってずっと眠れなかった気がする…」と胸の高鳴りを振り返る。 　１８年に子役デビューし、昨年３～５月にはミュージカル「ＳＰＹ×ＦＡＭＩＬＹ」でメインキャスト・アーニャを好演。その自然で高い表現力で業界から熱視線を浴びている。８月には芸能事務所キューブに所属が決定。スイちゃん就任時から約３０センチ身長が伸びたことから「すっかり大きくなった」「女優さんとしての将来が楽しみ」と出演作に注目が集まっていた。 　本作は、主演の松下演じる小学校の保健室に常駐する学校医が、鋭い観察眼で児童のＳＯＳを見逃さず救っていく。第１話（１２日）は、増田演じる“居眠りしがちな児童”野咲ゆき役にフォーカスした物語で、繊細な芝居が求められた。 　「ゆきと自分の共通点は、明るくて元気なところ。でも悩み事があるところは違うかもしれない。役に寄り添うのがチャレンジでした。お母さんや先生に気づいてもらえない、複雑な気持ちをずっと大事に演じました」 　事務所の先輩でもある松下とは初共演。撮影の休憩中には「即興で人形劇をやって笑わせてくれた」とすぐに距離を縮めた。撮影中は助け舟もあったようで「私がうまくできなくて１０回トライしたシーンがあって。松下さんが『僕は他の現場で４０回くらいやったことあるから大丈夫だよ』って優しく声を掛けてくださった。直後に監督からＯＫをもらえて。かっこいい先輩です」と尊敬の念を語る。 　撮影では“泣き”の演技にも初挑戦した。当初は「カメラの前で泣けるかな…」と半信半疑だったが、勝負強さを発揮してみせた。 　「ゆきの思いを伝えるシーンだったんですけど、気づいたら自然と涙がこみ上げていた。『え、こんなにできるんだ！』って驚いちゃいました。うまくできた涙の演技は見どころです。自分で言っちゃった（笑い）」 　夢や目標は「いっぱいあります」と指を折るしぐさを見せ、「いつか松下さんのようにドラマの主人公にも挑戦したい」と掲げる。「ミステリーや不気味で怖い作品にも出てみたい。悪い役とか、意外な一面で驚かせる役を演じたいです！」と早くも新境地を見据えている。 　◆増田　梨沙（ますだ・りさ）２０１３年１０月２２日、東京都生まれ。１０歳。保育園の先生の勧めで１８年に子役デビュー。１９年からＮＨＫ　Ｅテレ「みいつけた！」でスイちゃんを歴代最長５年間務めた。２１年、テレビ東京系「つまり好きって言いたいんだけど、」でドラマ初出演。２４年、ミュージカル「この世界の片隅に」に出演。趣味はダンスと動画編集。身長１３１センチ。 ◆「セリフは体に染みこませる」見せるプロフェッショナルぶり 　記者とは１８歳差、これまでの経験で最年少の取材対象だった。学校終わりと聞いていたが、疲れの表情は一切ない。それどころか、Ａ４用紙にクレヨンや鉛筆でドラマ撮影の感想をびっしりつづった“自作メモ”を持参。子役は習い事の延長線という感覚ではない。プロフェッショナルぶりに驚かされた。 　台本の覚え方を聞けば「セリフを覚えるんじゃなくて、自分の言葉として体に染みこませる感覚です」と大器の片鱗（へんりん）をのぞかせる。写真撮影では、記者が“喜怒哀楽”４パターンの表情を求めると、頬をぷくっとさせたり、コミカルな変顔まで表情をコロコロ変える。大人顔負けの折り目正しさと、子どもらしい愛らしさが行ったり来たりする１０歳にすっかり、とりこになってしまった。（奥）