「デニムには明るい未来が待っているはずだよ」卒業を発表したデンハム創業者の最後の言葉
「青い血が流れている」。まことしやかにそう囁かれるほど、深いデニム愛を持つ男、ジェイソン・デンハム。 ▶︎すべての写真を見る 言わずと知れたデンハムの創設者が、突然の“卒業”を発表した。 ただそこに、ネガティブな色はない。青から緑へ。彼の手と心は、また美しく変わろうとしている。
ジェイソン・デンハム、最後の言葉
編集部 デンハムの立ち上げから数えて17年、本当にお疲れさまでした。 ジェイソン ありがとう。デビュー当初から仲がいいオーシャンズには、トクベツな想いを抱いています。グッドフィーリング。お互い、いい歴史を歩んできたよね。 編集部 卒業は以前から準備を? ジェイソン そうだね。このタイミングになったのは、ブランドが次のステップに進むための手筈が完璧に整ったから。そこにいるアキ(デンハムグローバル副社長の根岸洋明さん)たちが熱いハートを持って、きっとやり続けてくれる。 編集部 根岸さんはどんな存在? ジェイソン ひと言で言うならば、「スーパースーパースーパージャパニーズ」。初めて会った瞬間から、僕はアキに恋をしたんだよ(笑)。 編集部 というと? ジェイソン 僕が敬愛する日本文化と同様に、あらゆるディテールで感動させられる。プロフェッショナルで丁寧。僕に負けないくらいデンハムというブランドを愛しているしね。でも一方で、アキはインターナショナルな視点も持っている。すごいよ。
編集部 真実は細部に宿る。デンハムのコンセプトでもありますね。 ジェイソン まさしく。僕はこれまでずっと、新しいシルエットやフィッティングのデニムを作り続けてきた。その一つひとつが次のデニムに影響して、その流れがブランドを成長させる。 ディテールこそがDNAなんだ。ワークウェアからスポーツウェア、リラックスウェアへとデニムの立ち位置が変わるなかでも、デニムという素材が持つ魅力は変わらない。 これからもきっと、デニムには明るい未来が待っているはずだよ。 編集部 ジェイソン自身は、これからどんな未来を思い描いています? ジェイソン デニムに染まったブルーハンドから、緑と暮らすグリーンハンドへ。スペインのイビザ島でオリーブ栽培を始めるんだ。まだブランド名すら決まっていないけれど、オーガニックのオリーブオイルを作ろうと今テストしている最中。 編集部 なんと!すごく楽しそう。 ジェイソン アムステルダムと違って、イビザではよりヘルシーな生活ができる。ヨガ、ハイキング、スイミング。海辺での昼寝も最高だ。 当然、デニムははき続けるよ。以前、オランダ代表のオリンピックユニフォームを5オンスで作ったんだけど、その軽快さがイビザの気候に合っていて。今またお気に入りなんだ。 編集部 その快活なマインドは、将来に悩みがちなオーシャンズ世代(30~40代)の参考になるかもしれません。 ジェイソン 共感してくれたらうれしいね。でも、イビザは田舎だからといって刺激がないわけじゃない。世界的な音楽イベントもあるし、面白い店もたくさん。僕のアトリエには、ステキなヴィンテージカーも飾ってあるよ。だから今度ぜひ遊びに来て! 編集部 絶対行きます! 山本雄生=写真 増山直樹=文
OCEANS編集部