「お前らまだわけーのに、何言ってんだよ」後輩の“代表引退発言”に怒りのツッコミ? 37歳深津旭弘が“ボロボロになるまで頑張る”理由
2024年、バレーボール界で最も印象深いゲームといえば、パリ五輪・男子準々決勝イタリア戦だろう。勝てば、およそ半世紀ぶりのメダル獲得に大きく近づく一戦。本調子から程遠かったエース石川祐希も復調し、日本は難敵イタリアから2セットを先取した。しかし――。37歳にして初のオリンピックを経験したセッター深津旭弘(東京グレートベアーズ)が“史上最強のチーム”と過ごした夏を振り返る。【NumberWebインタビュー全2回の2回目/前編から続く】 【画像】「ブランの前で小学生みたいに泣く高橋藍と西田有志」「涙をグッとこらえるキャプテン石川祐希」「天才・関田の目にも涙が…」2024年名場面・男子バレー歴史に残る大激戦を写真で振り返る つかみかけた勝利を逃したパリ五輪準々決勝・イタリア戦を改めて振り返り、深津旭弘はこう分析する。 「初戦のドイツ戦もそうでしたけど、やっぱりどこかでひとつ冷静にならなきゃいけなかった。オリンピックという一番の舞台でも “熱く冷静に”という部分がもう少し必要だったのかなと思います。前のめりになりすぎた分、勝ちが逃げたのかなと。 まあ結果的に見れば、ですけどね。やっぱりあの大会は(予選ラウンドで)みんな、『あれ? なんかちょっと違うな。なんか調子悪いな』みたいな感覚があったから、たぶん余計に前のめりにならざるを得なかったんだと思います。 まあ『もう4年頑張れ』ってことなんじゃないですか。『お前ら、ちょっと強くなったからって調子乗ってんじゃねえよ』って、バレーの神様が言ってるんじゃないですかね。『甘かねえぞ』って。『もっと積み重ねろ日本』って(笑)」
「お前らまだわけーのに、何言ってんだよ」
イタリア戦直後は、代表引退を口にしたり記事になった選手もいたが、時間が経つにつれ再結集の気配も漂うようになった。深津は笑いながら言う。 「やるに決まってるでしょ、あいつら。詐欺だよ。やめるやめる詐欺! (笑)。『どうせやるんだから、いらんこと言うなよ。お前らまだわけーのに、何言ってんだよ』って言いましたよ」 深津自身は一度も引退を口にしていない。 「まあ頑張れるだけ頑張ります。ボロボロになるまで(笑)。代表うんぬんはちょっと置いといて……。自分のキャリアの最終盤に入ってきた時にこうしてオリンピックを経験して、オリンピックに出たからこそ、『もう一回頑張んないとな』と思いました。まだ伸びるんじゃないかなという部分はあるので」 37歳がそう思えるのは、自分に限界を作らないからだ。 今年日本代表Bチームで主将を務めた29歳のセッター大宅真樹(サントリーサンバーズ大阪)が、パリ五輪のあとこう語っていた。 「パリ五輪で僕に一番影響を与えてくれたのは深津旭弘さん。深津さんがあの年齢でオリンピアンになられたことで、僕としても目標の幅が広がる。次のロスを目指そうと、少しでも思えるきっかけを作ってくれました」 希望を与えられたのは大宅だけではないはずだ。しかも深津はずっと代表に名を連ねていたわけではない。 代表初選出は2010年で、ネーションズリーグの前身のワールドリーグに出場したことはあったが定着はできなかった。だが2022年にBチームに選出され、昨年はAチームでネーションズリーグに出場。その後、再びBチームに移ったが、若手選手たちと汗を流し、アジア大会で銅メダルを獲得。今年パリ五輪出場を果たした。 「もう代表は無理かな」と諦めかけていた選手たちも「オレも!」と勇気をもらったに違いない。 「たぶん“できる”と思ったら、できるんですよ」と深津は言う。 「例えば大宅だったら、石川(祐希)と同じ世代だから今29歳で、次(の五輪)が33歳、その次も37歳で、僕が出た歳ですから、まだあと2回ぐらい目指せる。別に誰が目指してもいいじゃないですか。うちの今橋(祐希)だってそうだし、他のポジションでも。ベテランでも『まだチャンスあんの? 』みたいに思ってくれたら。誰でも、まだ伸びるところはいっぱいあると思うから」
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