「選手層が厚ければ...」三笘薫の今季をブライトン番記者が総括。昨季ほど輝けなかった“3つの理由”とは?【現地発】
3得点・5アシストでシーズンを終える
プレミアリーグに新風をもたらした昨シーズンの三笘には、アーセナルやバルセロナといったビッグクラブから大きな関心が寄せられた。2021年にブライトンが川崎フロンターレから250万ポンドの超安値で獲得した選手には、その20~30倍ものプライスタグがつけられた。 しかしあの8月の試合から7か月経過した今、26歳は腰痛により今季の残りのシーズンの全試合欠場が濃厚となった。開幕前のロベルト・デ・ゼルビ監督は、今シーズンの三笘が20ゴールを上回る活躍をできるクオリティを有すると示唆していたが、実際は全公式戦中26試合に出場して3得点・5アシストと、不完全燃焼の形でシーズンを終えている。 ボールを自在に操り、ディフェンダーのバランスを崩して置き去りにする、三笘のドリブルの質は秀逸だ。トレードマークと言えるこのスキルに、対峙するディフェンダーは頭を抱え、時にはテレビのカメラマンでさえもその動きに追いつくのが困難な場合さえもある。しかし今季の三笘は、昨シーズンの輝きに至ることはなかった。なぜか? 第一の理由は怪我だ。12月下旬に足首を負傷し、アジアカップ目前に戦線を離脱。そのアジアカップでは、この怪我の影響から出場時間が限られてしまった。一定の回復期間を得ただけに、2月上旬のブライトン復帰後の三笘の動きは、大幅にキレが増していた。 そしてシーズン終盤に向けての活躍が期待されたもの、同月18日のシェフィールド・ユナイテッド戦前に腰を痛め、その結果、2024-25シーズンまでピッチに戻らないことが発表された。 また、ここでいう「怪我」というのは、三笘本人だけのことではない。22番にとって昨季最良の相方だった、左サイドバックのぺルビス・エストゥピニャンも怪我によりシーズンの大幅に棒に振ってしまった。 エクアドル代表のオーバーラップは三笘により多くの攻撃オプションを与えると同時に、相手守備陣を迷わせる一手だった。だがエストゥピニャンを欠いた今季の前半戦、左サイドを主戦場にするウインガーは孤立してしまい、怖さが大幅に減少した。 2つ目の理由は、相手チームの三笘対策である。エストゥピニャンのいない左サイドは攻撃オプションが手薄になり、対戦相手は日本代表のエースに対してダブルチーム、時には3枚で対応。三笘は横パスを出したり、数的不利の状況で勝負に出ると簡単にボールロストするなど、抑え込むのが容易になったのだ。 昨シーズンの三笘は、味方にシュートチャンスをもたらすランキングで上位に食い込んでいた。翻って今季はプレミアリーグ内のほかのアタッカーと比較して、真ん中当たりにいる。仕掛けの回数は減少し、さらに成功率は昨季を劣る。