「T.T I-A 02 遺物の声を聴く 応用考古学の庭」が草月会館で開催中。東京初の展示
デザイナー・髙橋大雅(1995~2022)が2017年にニューヨークで立ち上げたブランド「T.T」(ティー・ティー)。その展覧会が、赤坂の草月会館にあるイサム・ノグチ設計の石庭「天国」で開催中だ。 「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」という応用考古学の視点に基づくブランドコンセプトを持つ「T.T」。髙橋は10代の頃から海外のアンティークディーラーや古美術商を通じて、70~100年以上前の服を収集。その数は数千点に上り、過去の衣服や文化を研究し、現代や未来に存在し得る服を創造する活動を続けてきた。 髙橋は2022年4月に早逝したが、京都・祇園につくり上げた総合芸術空間「T.T」や、約2000点におよぶ服飾資料や古美術品という膨大な遺産を残した。また「T.T」は24年に、髙橋が蒐集した過去の遺物のアーカイヴを開示するためのプラットフォーム「T.T I-A(Institution of Archeology)」を立ち上げ、髙橋の思想を継承した活動を続けている。 本展は、京都・祇園に続くT.T I-A第2弾として、髙橋がもっとも影響を受けた芸術家のひとりであるイサム・ノグチが作庭した石庭「天国」を主な展示空間とし、髙橋が蒐集した過去の遺物や約300点に及ぶヴィンテージの服飾資料、さらにそれらから着想を得て髙橋が制作した衣服や彫刻作品が公開されている。髙橋の掲げた「応用考古学」の理念を具体化し、過去の遺物や美意識を現代に甦らせる試みに注目だ。