【バレー】JT女子 宮部愛芽世が子どもたちへの指導で大切にしたこと。地元の交流会で「私自身、楽しかった記憶があるので…」
自らの体験に倣って、今の活動に生かす
「小さい頃のことは覚えていないですけどね!!」と宮部は笑う。けれども当時の体験が今、こうして自分が子どもたちを教える立場になって生きている実感はあるという。 「小さい頃の私は意欲的なほうだったと。それは、自分が『バレーボールっておもしろい』と思える回数が多かったからだと思うんですよね。その感覚があったから、こうしてバレーボール選手にもなれたのだと。 なので、そういう気持ちを引き出すきっかけになれたらと考えています。強い、弱い、できる、できない、ではなくて。私が小さい頃、年に2、3度、JTのクリニックに参加させてもらって、すごく楽しかった記憶があるからこそ、子どもたちにもそう思ってほしいなという気持ちで常に取り組んでいます」 こうしたクリニックの際、JTでは選手たちがメニューを考える。参加する子どもたちのレベルに合わせて、あらかじめ選手全員で話し合い、リハーサルをして、成功を目指す。今回の「バレーボール交流会」では競技経験の浅い子どもたちも多かったため、「バレーボールが楽しかった」「いい汗をかいた」と思ってもらうことを念頭に置いて、宮部たち選手は指導にあたっていた。
「コートに立ってプレーする姿を見せたい」と宮部
バレーボールっておもしろい――。 そう体験してから10年以上、中高大とハイレベルなステージでプレーし、そうして今秋から始まるSVリーグに、宮部は一人のバレーボール選手として臨む。 「内定選手としてプレーした昨季と違って、フルでシーズンを戦うのが私自身は今回が初めてなので。まずは楽しみな気持ちもありますし、それにホームゲームの回数が増えますからね。 (母校である大阪の)金蘭会中高の後輩や、それこそ尼崎市の子どもたちに見てもらえる機会が今まで以上に増えるわけで、とても身が引き締まるといいますか。コートに立ってプレーする姿を見せたいと思いますし、チームとしては優勝を目指しているので、ホームの力を借りながら、いい結果を残したいです」 今年、JTに入団してから尼崎市でのクリニックに参加した際には、宮部が司会を務めた。そこでは幼少期を知る関係者から「大きくなったね」「感慨深いね」という声を聞き、過ごしてきた年月とバレーボール選手としての自身の立場を実感した。 こうしたバレーボール教室で宮部とパスをかわした子どもたちの中から、将来のバレーボール界を担う選手が出てくるかもしれない。おもしろい、楽しい。そんな感情がつなぐバトンが、そこにはある。 (文・写真/坂口功将)