最終面接「落ちた」を「残った」に 〝お祈りメール〟から新たな出会い 選考落ち、連絡途絶えた友人が原点
新卒採用において、企業側から「不採用」が通知されるメールを形容する、「お祈りメール」。このメールを、就活生を前向きにさせるものに変える事業を展開しているベンチャー企業があります。創業のきっかけは、最終面接のあと不採用とされた友人の、メンタルの落ち込みでした。(withnews編集部・金澤ひかり) 【画像】就活での挫折、「人生で最もショック」と答えた割合は
最終選考まで残ったこと、両者にとって効率的
「最終選考で落ちた」就活生を「最終選考まで『残った』」就活生と価値付け、新たなリクルートにつなげるサービスを展開しているのは、2020年に設立された「ABABA」(本社・大阪府吹田市)です。 そのサービスは、最終選考まで残った就活生に企業側が送る「不採用通知」の末尾に、ABABAの登録リンクを添付。登録した就活生は、どこの企業の最終選考に残ったかを記入することができ、ABABAと連携しているほかの企業の採用担当者はそれを閲覧できます。 他社が一定評価した就活生に採用担当者がアプローチでき、就活生にとっては「最終選考まで残った」ことが強みになる仕組みです。 500人ほどに不採用通知を出したというある企業では、添付のリンクからABABAに登録した就活生が300人ほどいたケースもあったそう。2020年のサービスリリースから3年を経て、1100社が導入、4万5000人の就活生の登録があります。 代表の久保駿貴さんは「ABABAに登録した就活生に対して、採用担当者からは『その企業の選考がそこまで行っているなら、うちは最終面接だけでいい』といったオファーを受けられることもあり、就活生にとっては『優遇』が受けられます。一方、企業側からするとコスト削減にもつながり、効率的な設計です」とメリットを語ります。
「お祈りメール」届いた友人、連絡途絶えた
久保さんには、このサービスを着想するきっかけとなった体験があるといいます。 大学生だった2020年6月、就活をしていた友人は、大手企業の最終面接まで通過しましたが、最終的に不採用になりました。その友人はメンタルが落ち込み、1カ月半くらい連絡がとれなくなったそう。 「最終まで行ったことが水の泡になったことがもったいないし、大手企業の最終までいくような友人は他の企業からしたら引く手あまたなはず。でも、不採用通知を受けた後の友人は、『どこにエントリーしたらいいんだろう』という状態になってしまっていました」 友人の一件を間近でみていた久保さんは「能力をもった人間が適切な会社で働けていない可能性はないか」と考えたそうです。