<チェジュ航空旅客機事故>その「構造物」が事故拡大したのに…「規定上問題ない」だけ繰り返す韓国政府
務安(ムアン)空港でチェジュ航空機の事故を拡大した原因として指摘される滑走路終端部に2メートルの高さで突出したコンクリート構造物に対する議論が続いている。事故機は胴体着陸後に滑ってこの構造物と外壁に相次いで衝突した後炎に包まれた。 一般的に空港内では航空機の安全のため障害物を最小化する。設置が避けられない施設の場合、航空機との衝突に備え、折れたり破損しやすい材質で製作する。頑丈なコンクリートなどを使うと事故発生時に人命被害などが拡大する恐れがあると指摘される。 だが続く議論にも主務官庁である国土交通部は、コンクリート構造物について「規定上問題はない」との立場を固守している。国土交通部は前日、「務安空港のローカライザー(誘導施設)は関連規定に合わせて設置された」という内容の報道資料を出し関連規定を列挙した。 まず、空港施設法に基づく航空障害物管理細部指針(国土交通部例規)第23条第3項によると、「空港敷地にあり障害物と見なされるすべての装備や設置物は折れやすい受け台に装着しなければならない」と規定されているが、これは同条第1項により着陸帯(滑走路を囲む最小60メートルの舗装道路)、滑走路端安全区域(RESA)などの内側に位置する場合にだけ適用されると説明した。滑走路端安全区域は航空機のブレーキが利かず、滑走路終端部を行き過ぎた時に備えて着陸帯の終端部分外に設定した一種の安全地帯だ。 31日に行われた事故関連ブリーフィングでも国土交通部のチュ・ジョンワン航空政策室長は「滑走路端安全区域を抜け出した場合に規定は適用されないが、務安空港の構造物も範囲外にあり制限規定が適用されない」と付け加えた。務安空港では滑走路端安全区域距離が199メートルと設定されており問題がないというのが国土交通部の立場だ。ローカライザーはこの区域に加え安全地帯である着陸帯の長さ60メートルを加えた250メートルほどの距離に設置されていると国土交通部は説明した。 務安空港の滑走路端安全区域が他の空港に比べて短いという指摘も出た。国土交通部によると韓国の「空港・飛行場施設と離着陸場設置基準」は着陸帯終端から最小90メートル確保し、240メートルは勧告基準として提示している。 務安空港の滑走路端安全区域は着陸帯の終端から199メートルだ。浦項(ポハン)空港は92メートル、泗川(サチョン)空港は122メートルと177メートル、蔚山(ウルサン)空港は200メートル、済州(チェジュ)空港は240メートルなど、92~240メートル水準で、最小基準以上だが、勧告基準は超えていない。チュ室長は「設置基準などは政府告示により規格が決まり、計画・設計段階で専門家らが関連規定を検討した後で施工する」と説明した。 これは国際基準や米国など他国の基準とも多少違いがある。国土交通部関係者は「国際民間航空機関(ICAO)規定付属書14-1では滑走路端安全区域を着陸帯終端から240メートル、米国は滑走路端から1000フィート(約304メートル)だが、『通常の』水準で適用されるもの。韓国の施行規則にも滑走路端から1000フィート離れたところに設置しろという文言があるが、『困難な場合、施設の範囲内で調整できる』という但し書き条項があり、務安や蔚山など国内の複数の空港が例外規定に属する。もしかしてさまざまな規定が衝突する部分がないか追加で確認してみる」と話した。 合わせてローカライザーアンテナを支持する構造物の高さや材質に対しても「韓国だけでなく、ICAOなど国際規定にもアンテナ支持構造物の高さや材質などに関しては規定されていない。設置規定の改善が必要なのかに対しては今後専門家らと点検したい」とした。 一方、金浦(キンポ)空港試験分析センターに送られたドライブレコーダーは表面の異物洗浄を完了した上で状態を確認している。フライトレコーダーは資料保存ユニットと電源供給ユニットを連結するコネクターが紛失した状態で見つかり、資料抽出方法など技術的検討に入った。 現場調査もスピードを出している。米連邦航空庁から1人、米国家運輸安全委員会(NTSB)から3人、航空機メーカーのボーイングから4人の8人がきょうから韓国の航空鉄道事故調査委員会事故調査官11人とともに現場調査を進めている。また、国土交通部は完全な事故現場収拾に向け務安空港の滑走路閉鎖期間を来月7日午前5時までに延長することにした。