東京コアCPI、11月は+2.2%に加速 利上げ後押しとの声
Takahiko Wada [東京 29日 ロイター] - 総務省が29日に発表した11月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は108.3と、前年同月比2.2%上昇した。1.8%の上昇だった10月から一転、政府の電気・ガス代支援縮小によるエネルギー価格の伸び拡大で日銀が目標とする2%を再び上回った。生鮮食品を除く食料は4カ月連続で上昇率を拡大し、4%に乗せた。 市場では、物価の上昇圧力が再び強まっているとして、近い将来の日銀の追加利上げを後押しする材料との見方が出ている。 コアCPIの伸び率はロイターがまとめた民間予測(同2.1%上昇)からも小幅に上振れた。 エネルギー価格の上昇率は7.4%で、前月の2.5%を大きく上回った。電気代は9.7%上昇、都市ガス代は6.9%上昇といずれも前月の伸び率を上回った。政府の「酷暑乗り切り緊急支援」の補助額が縮小したことによるもので、総合指数の押し下げ効果は0.31%ポイントと、前月の0.51%ポイントに比べ小さくなった。 生鮮食品を除く食料は4.0%上昇。米類は62.8%上昇し、1971年1月以降で最大の伸び率となった。うるち米(コシヒカリを除く)は64.2%上昇。76年1月以降で最大の伸びを記録した10月の65.9%は下回ったが、歴史的な高水準が続いている。 コア対象522品目のうち、上昇が351品目、下落が108品目、変わらずが62品目、非調査対象が1品目。上昇品目は前月の355品目を4品目下回った。 人件費の転嫁が進む中、日銀が注目しているサービス価格は0.9%上昇。前月の0.8%上昇から伸び率が小幅に拡大した。 サービス価格のうち、民営家賃は0.9%上昇。前月の0.8%上昇を小幅に上回り、94年11月以来、30年ぶりの高い伸び率となった。借主保護の法体系などの影響で民営家賃は上がってこなかったが、物価や賃金の上昇、さらに日銀が利上げ局面に入ったことで「家賃は上がらないというノルム(慣習)に変化の兆しが見られる」(みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・チーフ日本経済エコノミスト)との指摘が出ている。 日銀の利上げを巡って植田和男総裁は、金融政策決定会合ごとにその時点で得られるデータや情報を総合的に判断していく方針を繰り返し示している。 SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは、今回の都区部CPIについて「日銀の追加利上げに対して強い追い風というほどではないが、近い将来の利上げを支持する材料になる」と話している。 一般サービスの価格上昇率は11月に1.2%と横ばい圏を脱しておらず、サービス価格の基調を一段と高めるような勢いや広がりには欠けるものの、生鮮食品を除く食料の上昇率が再び4%に加速するなど「物価の増勢は再び強まっている」と指摘。「日銀は今回の結果をオントラック(軌道に乗っている)と評価するだろう」とみている。 森氏は、追加利上げは春季労使交渉(春闘)を巡って大企業を中心に情勢が見え始める来年1月と予想している。ただ、為替の動向次第では前倒しされ、「ドル/円相場が150円台後半に再び向かうようであれば、12月会合で利上げに踏み切るのではないか」と予想している。