『ギークス』少しずつ開いていく“西条”松岡茉優の心の扉 “安達”白洲迅との関係性にも変化
普遍的な気づきの瞬間を独特の視点で描き出した『ギークス』第10話
基山(滝沢カレン)が家に帰ると、父・和文(阿南健治)は「家の売却が決まった」「基山家は解散」と一方的に話していなくなってしまう。一方、吉良(田中みな実)は元夫・聡(佐藤祐基)から、娘・藍(木村夏蓮)が家出したと聞かされていた。本を手に取ろうとした西条は、同じく本を取ろうとした藍と譲り合いに。そして、三者三様の家族の形が、図書館という一つの舞台で予想外に交差する。 藍が吉良の娘だと知り驚く西条。聡の再婚相手の妊娠に不安を覚える藍に、吉良は「私はいつだって藍の味方」と優しく寄り添うのだった。 そこに、和文の所在を突き止めた基山も図書館に駆けつける。ネットの情報を鵜呑みにし、すい臓がんを自己診断していた和文。吉良の診察で単なる骨格の歪みと判明すると、あっさり飲みに行ってしまう父に基山は呆れる。 この騒動を目の当たりにした西条は、いかに自分が父親のことを知ろうとしていなかったのかと気づかされる。他人の家族関係を通して、自身の家族との向き合い方を振り返る機会を得たのだ。 私たちの日常生活でも、友人や同僚の家族との関わり方を見て、「うちとは違うな」と感じたり、「こんな関係性もあるのか」と新たな発見をしたりするだろう。こうした経験は、自分自身の家族との関係を見つめ直し、時には再構築するきっかけとなることがある。 『ギークス』第10話は、そんな普遍的な気づきの瞬間を、独特の視点で描き出していたように思う。ひとりが好きな西条が、他の家族を通して自分を知る。前半での安達とのやりとり然り、彼女の心の扉が少しずつ開いていくのを感じられた回だった。最終回となる次週、西条は自分の家族と向き合い、苦手としていた「人との距離」について、どんな気づきを得るのだろうか。
すなくじら