ニップン・大楠氏 慶大医学部勉強会で全粒粉の健康機能を紹介
ニップンは6月28日、慶應義塾大学三田キャンパスで開かれた医学部化学教室第2回ランチ勉強会で中央研究所の大楠秀樹フェローが講演し、全粒粉の健康機能を紹介し、国内外の動向について報告した。 勉強会ではまず井上浩義教授が食物繊維が腸内細菌を増やす健康面での役割について解説。近年、大腸がん日本人の死因の上位となっていることに触れ、大腸がん予防にはより多くの食物繊維をより多く摂取することが大切であると強調した。さらに各種の疾患を腸内環境の悪化が引き起こしている可能性を指摘し、うつ症状患者の腸内細菌を腸内細菌をもたない無菌マウスに移植するとうつを発症するといった研究データを報告した。
大楠秀樹氏は全粒粉が人の健康に果たす役割について紹介。「全粒粉は通常の小麦粉と比べ、食物繊維やビタミン・ミネラルなどを3~4倍多く含む。全粒粉を使ったパンはベーカリーなどでも定番であることや、麺や菓子などでも採用が進んでいる」と現状を語った。 大楠氏はニップンが考える全粒粉の魅力を「おいしい」「たのしい」「からだにいい」とした上で、穀物本来の味わいを楽しめる点を紹介。全粒粉は遊離アミノ酸によりうまみや甘みが強くなるとともに、風味や香ばしさも強くなるといった味に与える効果があるとした。大楠氏は、全粒粉の摂取が死亡率を低減し、心血管疾患や、Ⅱ型糖尿病、大腸がんなど生活習慣病のリスクを低減するという研究成果を受けて各国の食事ガイドラインで全粒粉摂取を推奨していることにも触れ、「日本人もさまざまな食物から食物繊維を摂取するべき。難消化性でんぷんを含む穀物も摂取した方がよい」と強調した。