女性医師の強姦殺人に怒りが収まらない...インドの根深い女性差別と法の不備への猛抗議
<性犯罪の厳罰化や警察の迅速な対応を求める運動はこれまでも繰り返されてきたが、状況は改善していない>
8月9日、インド・西ベンガル州コルカタの病院で女性研修医が強姦され殺害される事件が発生。これに対し、医師らによるストライキや市民の抗議デモが各地で2週間以上続いている。 【動画】女性医師の強姦殺人に抗議する人々 インドでは性犯罪の厳罰化や警察の迅速な対応を求める運動が繰り返されてきたが、状況は改善していない。そんななかで起きた今回の事件は、医療現場における女性虐待の蔓延の表れだとして異例の怒りを巻き起こしている。 性犯罪対策には超党派の協力が不可欠だが、西ベンガル州政は国政の与党・インド人民党(BJP)と対立する野党勢力が仕切っており、この事件が政治問題化している。 BJP支持者が州首相の辞任を要求し、一部のデモが両陣営の支持者による乱闘に発展。警察が催涙ガスや放水銃を使って鎮圧する事態となった。 最高裁は医師の安全確保に関する専門チームの設置を要請したが、法の不備や根深い女性蔑視など課題は山積だ。
マイケル・クーゲルマン(米ウッドロー・ウィルソン国際研究センター南アジア研究所長)