【毎日書評】SNS炎上リスクはどう避ける?顧客離脱に歯止めをかけられる企業がやっていること
一定の利用者を集めたサービスでも、生き残ることが難しい時代になりました。(中略)あらゆる形態のサービスにおいて、「顧客が去っていく」という深刻な事態に見舞われています。次々と新しいサービスが提供される中、消費者は目新しいものに心を奪われがちです。そうした中、獲得した顧客をいかに離脱させないかが、生き残りをかけた最重要課題になるのです。(「はじめに」より) 『こうして顧客は去っていく サイレントカスタマーをつなぎとめるリテンションマーケティング』(宮下雄治 著、日本実業出版社)の著者は、このように指摘しています。 しかも物価高で生活費が上がっているため、消費者の生活防衛意識や節約思考は高まりを見せています。そのため企業の動向を見据える消費者の目はこれまで以上に厳しくなり、「価格」に敏感になっているわけです。 そんななかで企業が真っ先にするべきことは、「顧客が去っていく本当の理由」を突き止め、それを取り除くこと。顧客が他者へ流出することを防がなければならないということですが、著者はこれを「止血」と表現しています。 止血をするためには自社のビジネスを多方面から「診察」し、原因や実態を特定する「診断」を行わなければなりません。そして診断結果に基づき、止血のためのしかるべき「治療」をする必要があるのです。 診察や診断が的外れであれば、適切な治療が行えず顧客離脱の状況は改善できないでしょう。そこで前例や思い込みにとらわれず、顧客と自社の関係を客観的に観察することが意味を持つことになります。 もちろん顧客データの分析も大切ですが、それに加えて、消費の現場や顧客のリアルな姿に目を向けて“顧客の解像度”を上げ、顧客が去る理由を解明していく努力が大切なのです。 こうした考え方を軸とした本書の第1章「これまでの成功法則は通用しない」のなかから、きょうは「実体験に基づいたUGCが経済を動かす」という項目に焦点を当ててみたいと思います。