声帯手術、養母の命日のラストライブ…「いつかは自分もお母さんみたいに」川嶋あいの音楽の原点はMDウォークマン
ひとりで抱え込むことをやめた
――声帯の手術、8月20日のラストライブなど、近年いろいろな変化がありました。その中でも、特に大きかった自身の変化を教えてください。 いちばん大きな変化は「ひとりで抱え込むことをやめたこと」です。これまでは自分の弱さを仲間や家族に見せることはなかったんですが、そうすることをやめました。 ――これまではなぜ見せなかったのでしょうか? 「誰かに弱さを見せても何も変わらない」「結局、最後に決めるのは自分自身だから相談しても意味がない」ということを当たり前と思っていたんです。私は16歳で養親であるお母さんを亡くしたとき、言葉にあらわせないほどの悲しみを抱えていたのですが、どこかで「周囲に話したところで私の気持ちはどうせわからない」と決めつけて、誰にも打ち明けることはありませんでした。 ――ただ、その考えが変わっていったと。 「ひとりで抱え込まなくていいんだ」と思えたきっかけをハッキリと覚えているわけではありません。ただあるとき、一緒に仕事をしている仲間に、悩みや苦しみをポロッと話したことがあったんです。相手も「なんでいきなりそんな話をするの?」と驚いたと思います。それでも私の話を聞いてくれて、話していると自分の中でどんどん安心感が生まれていくのを感じました。 ――意図して「ひとりで抱え込むことをやめよう」と思ったわけではないんですね。 本当になんとなく抱え込んでいたことを話しました。私の悩みを解決するベストアンサーが出たわけではないですが、「抱え込んでいることを誰かに聞いてもらうと、こんなに心が軽くなるのか」と強く感じました。 ――ただただ聞いてもらえるだけでもうれしいですよね。 ひとりで悩む時間は大切ですが、勇気を持って吐き出してみることも本当に大切です。人はひとりでは生きていけません。仲間と一緒にいたほうがいいし、大切な人を見つけたほうがいいです。 ――とはいえ、自分の弱さを他人に見せることは勇気のいることです。 めちゃめちゃ勇気が必要です。最初はその悩みを少しでもいいので出してみてほしいです。そうすることで、対話が生まれたり共感してもらったりなどを通して、自分自身の心が軽くなっていくと思うので。