いまもネットを戦慄させる「女子高生コンクリ詰め殺人」悪夢の一部始終 元「少年」が殺人未遂容疑で逮捕されるまで【昭和・平成の凶悪事件簿】
“一生償っていく”
主犯格の少年らは、返り血が付着しないよう拳をビニール袋で覆って、彼女の顔面や腹部を殴っていたが、それに飽き足らず、キックボクシングの練習に使う鉄球付きの鉄棒を持ち出してきた。その鉄球部分で彼女の腹や太ももを殴打した上、ライターのオイルをかけて火を付けた。ぐったりした彼女は途切れ途切れの声で、「苦しいです」と漏らすのがやっとだった。 瀕死の彼女を置き去りにしたままサウナに出かけた彼らが再び部屋に戻ってきたのは翌日午後。主犯格の少年は彼女の顔にタバコの煙を近づけ、手でその体を押した。すでに死後硬直が始まっていた。絶望の中で一人、彼女は死んだのだ。 S容疑者らは彼女の遺体をドラム缶に入れ、コンクリートを流し込んで固めた上で都内の埋立地に遺棄した。 「今思えば、(被害者を)人間だと思っていなかったというか、その頃は、人間とか、そういうのも考えていなかった」 後の公判でのS容疑者の言葉である。一審の最終意見陳述では、しおらしい態度でこう述べてみせた。 「被害者や世の中の皆さんに大変迷惑をかけ申し訳なく思っている。自分はまだまだ未熟だが、しっかり反省して一生償っていく」 それから28年――。 少年法に守られた彼の更生が単なる「理想」に過ぎなかったことを、S容疑者は自らの行為によって証明してみせたのである。
警棒で殴打され……
2018年8月19日、“元少年”Sが殺人未遂容疑で逮捕された。現場は、埼玉県内のアパート前の駐車場だ。S容疑者と被害者の男性はいずれも、このアパートの別棟の住人だった。 「事件があったのは8月19日の午後5時半前。被害者はS容疑者に警棒で殴られた上、首をナイフで刺された。警棒は3段の伸縮式で全長41センチ。ナイフは折りたたみ式で刃渡り8センチ。事件直後、S容疑者は自宅にいるところを緊急逮捕された」(捜査関係者) 何があったのか。 当時の取材によれば、被害者は駐車スペースを巡ってS容疑者に因縁をつけられ、4~5発ほど殴られた。続いて警棒で殴打された上、刃物で首の後ろを刺されて出血。後に医師からは傷の部位によっては生命の危険があったことを伝えられたという。 少年法に関連しては、いまなお「更生を第一に考えるべきだ」との意見も根強い。実際に更生が実現することが本人はもちろん社会のためという面はあるのだろう。しかしながらそうした正論だけではどうにもならない現実があるのもまた事実である。 デイリー新潮編集部
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