英独債スプレッド拡大、1990年以来の高水準に接近-英賃金上昇に反応
(ブルームバーグ): 英国債利回りが上昇し、ドイツ債利回りとの差(スプレッド)が数十年ぶりの水準に近づいている。17日朝に発表された統計で、英国経済のインフレ圧力の強さが明らかになったことが背景にある。
10年物の英独債スプレッドは一時228ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大。この水準で引ければ、終値としては2年前の英国債危機時に付けた水準を超え、1990年のドイツ統一直後以来の大きさとなる。
英国の賃金の伸びが予想以上に加速したことが17日に明らかになり、短期金融市場ではイングランド銀行(英中央銀行)の追加利下げ見通しが急速に後退した。来年に0.25ポイントの利下げが完全に織り込まれているのはいまや2回だけで、3回目がある確率は約40%でしかなくなった。賃金統計の発表前はこの確率が90%だった。
歴史的な節目に近づくスプレッドは、2つの債券市場が大きく乖離(かいり)している事実を物語る。英国経済における根強い物価上昇圧力で英国債は今年に入り他の欧州国債に後れをとっている。一方、ドイツ債は欧州中央銀行(ECB)の大幅な金融緩和の見通しを受けて上昇している。
トロント・ドミニオン銀行の英国・欧州金利シニアストラテジストのプージャ・クムラ氏は、「賃金のデータを市場は非常に恐れている」と指摘。「英中銀が闘っている状況は、他の中銀とは極めて異なる」と述べた。
ブルームバーグが調査したエコノミスト予想によると、18日に発表される英国の消費者物価指数(CPI)は2.6%上昇と、前月の2.3%上昇から加速する見込み。英中銀は今週の決定会合で、政策金利を4.75%に据え置くとみられている。
ロイズ銀行の市場分析責任者サム・ヒル氏は賃金統計発表後のリポートで、「金融政策委員会(MPC)のタカ派には、この事実を無視することは難しいだろう」との見方を示した。
原題:UK’s 10-Year Yield Nears Highest Since 1990 Relative to Germany(抜粋)