日テレ女性アナ、ゴジラ初体験の感想 郡司恭子アナ「戦争は加害者と被害者が表裏一体」
11月1日、金曜ロードショーにて本編ノーカットで地上波初放送
日本では興行収入76億円を超える大ヒットを記録した『ゴジラ-1.0』。第96回アカデミー賞では、邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞した。11月1日、金曜ロードショーにて本編ノーカットで地上波初放送する。 【写真】「背中キレイ」の声…日テレ郡司恭子アナの全身ショット 舞台は、戦争によって何もかも失い、焼け野原となった東京。生き延びた人々が復興を目指す中、追い打ちをかけるかのように、巨大生物ゴジラが出現、東京に上陸する。自前の軍隊を持たない日本は、武器も弾薬もない、民間人だけでゴジラに立ち向かうしかなかった。誰かが貧乏くじを引かなくてはいけない。戦争を生き抜いた人々はゴジラと戦うことを決意する。 山崎貴監督は、今回の地上波初放送に際して「怪獣映画だからって食わず嫌いしていた人達にもぜひ見てほしい!」とコメントした。 また、これまでゴジラ映画にあまり触れる機会がなかった日テレ女性アナウンサーが『ゴジラ-1.0』を視聴した感想が届いた。 以下、コメント全文 ○浦野モモアナウンサー ――注目のシーンは。 「政府がゴジラの情報を公にしていないシーンでの『予想される大混乱の責任を誰も取りたくないんでしょう』『情報統制はこの国のお家芸だ』というやり取りは、ゴジラという未知なる大きな敵を前にした危機的状況であっても、発表することで救われる多くの命と、自分たちを守るということを天秤にかけていることがあらわれていて、人間ドラマであると感じました」 ――グッときた登場人物は。 「野田健治。自ら考案した作戦を発表し、民間人が主体となって自分たちで日本を変えていこうと多くの人を納得させた上で仲間にするカリスマ性を感じました」 ――『ゴジラ-1.0』を見て感じたことは。 「誰かが誰かを思う気持ちでこの世界は動いている、ということです。野田の作戦を決行する場面では、序盤の秋津の『貧乏くじ』のセリフと対比するように『誰かがやんなきゃいけないんでしょう。じゃあ仕方ないんじゃないですかね、俺たちじゃなきゃこの船は動かせないんだし』というやり取りがありました。誰かがやってくれるだろう、ではなく、他の人からみたら自分もその『誰か』のうちの一人であるのだ、と思いました。そしてそれは、日常の小さな場面から、ゴジラのような大きなものと戦う場面まで共通していると感じました。また、ゴジラ映画を初めて観た私は、ゴジラの目的が一体なんなのか、そしてゴジラは何の象徴なのか、核兵器か、自然災害か、考えさせられました。作品ごとに描かれ方が異なるとのことで、他の映画も観たいと思いました」 ――映画の良かったところ・おすすめポイントは。 「『生きて、抗え』とキャッチコピーにもあるように、生きてこそ、というメッセージを強く感じました。人々はもちろん、最後に海底で再生の予感を見せたゴジラからも、生きるという意思を感じました。自己犠牲もたびたび描かれていますが、それをただの美談にしない姿勢に感銘を受けました。そして何より、ゴジラのメインテーマが流れた瞬間は『これがゴジラだ…!』と大興奮しました」 ○河出奈都美アナウンサー ――注目のシーンは。 「敷島がもう一度橘に会って戦闘機の修理をお願いするシーン。なぜ敷島が『橘さんじゃないとだめだ』と思っていたかが分かった瞬間に、ドラマを感じます。秋津と野田が、最後の作戦に水島を置いていくシーン。未来のために戦いに向かっていく2人の姿は注目です」 ――グッときた登場人物は。 「橘がかっこよかったです。敷島に対して憎しみを抱いていた橘が、最後に『生きろ』というメッセージを伝えたときの、ゴジラの犠牲になった仲間たち、そして敷島のことも思いやれる姿にグッときました」 ――『ゴジラ-1.0』を見て感じたことは。 「ゴジラという“倒すべき敵“がいることで、かえって戦争の虚しさが強調されていたように感じました。戦争の相手はゴジラのように理由もなく攻撃してくるわけではなく、勝っても負けてもマイナスなものだからだと思います。登場人物が皆、自分ではなく大切な人を守るために生きようとする中、敷島だけが「逃げていた」状況で、そんな自分を許せないという苦しみがすごく伝わってきました。そこから覚悟を決めますが、それが「死ぬ」覚悟ではなく、「生きる」覚悟だったことがよかったと思いました。映画を見終えた時に、暗闇の中に一筋の光が見えたような、希望を感じました」 ――映画の良かったところ・おすすめポイントは。 「現実と非現実の境目が分からないくらいリアリティーのある映像で、画面に惹きつけられました。ハラハラする展開も、ずっと目を離させないものになっていたと思います。神木隆之介さんの演技が素晴らしく、感情を揺さぶられました。絶望や後悔のなかで、明子に見せる優しく穏やかな表情、あんなに恐れていたゴジラに毅然とした態度で向かっていく表情に胸を打たれました」 ○郡司恭子アナウンサー ――注目のシーンは。 「山崎監督作品は好きで、これまでも見てきたので見る前から楽しみでした。やはりVFXは『寄生獣』や『ALWAYS』、『永遠の0』含め、自分たちが生きたことのない“世界を作れる”監督の真骨頂だと思っていたのでどんな映像なのか期待感をもって見ることができました」 ――グッときた登場人物は。 「安藤サクラさん。このキャラクターが“戦争から復興していく日本”を映し出す、ある意味時間軸の役割をしていたように思います。国の事情による『戦争』の“被害者”であるはずの澄子も、子供を亡くした悲しみから、敷島に浴びせる暴言を吐く、つまり“加害者”として物語冒頭は描かれており、“戦争”が人々の心に与えた傷とは何たるか、そして戦争は『加害者と被害者が表裏一体』ということがよくわかります。戦争を知らない世代として、さらにはゴジラ=特撮に馴染みがない私からすると、この澄子こそ物語を見やすくするひとつの“視点”であったと思います。ひとつの戦争映画としても見ごたえのある作品だったなと思い、澄子を選びました」 ――『ゴジラ-1.0』を見て感じたことは。 「“人間のやさしさに触れる”物語。時代こそ違えど、日本という国は捨てたものじゃないと思わせてくれます。戦火を(意図せず)逃れた兵士や、死にきれなかった自分を悔む兵士など、自分に与えられたはずの役割を全うできないことに葛藤しながらも、心の底では他人のために自分も役に立ちたいと思っている人間らしさが描かれていました。典子のセリフに象徴されるように、わたしたちが生きる意味=“自己犠牲という他者への愛”であり、その愛があれば世界を変えることができるかもしれない(ゴジラを倒す)と思わせてくれます。『ゴジラは愛とはなにかを教えてくれる物語』とも解釈できる気がしました」 ――映画の良かったところ・おすすめポイントは。 「VFXの迫力。戦後は『ALWAYS』、戦闘シーンは『永遠の0』・『アルキメデスの大戦』など、これまでの山崎作品に裏付けされた、今回も没入できるVFX体験ができました。これが、日本が忘れてはならない“記憶と決意”が宿る作品です。反戦、反核、他者のためにという思いやり・優しさ、復興の記憶、血のつながりにとらわれない家族のかたち、戦力の保持…など、日本が向き合ってきたor向き合うべき問題がすべて詰まっていました。人を傷つけてはならないという原則、またこれから考えていくべき家族の在り方など、いまの日本に生きる私たちへの『山崎監督からの問題提起』とも捉えました」