週に2日は通勤時「ひと駅手前」で降りて歩いています。通勤手当の「不正受給」にはならないですよね?
多くの職場では、従業員に交通費を支給しています。電車やバスで通勤している方の中には「健康のため」「交通費を浮かせるため」などの理由で、ひと駅手前で降りて歩いている方もいらっしゃるかもしれません。 しかし就業規則によっては、「交通費を多くもらっている」として不正受給に該当する場合もあるため注意が必要です。 そこで今回は、交通費の不正受給にあてはまるケースや、関係する法律について調べてみました。
「ひと駅手前で降りて」は「交通費を多くもらっている」? 不正受給になるパターンとは
まず、会社には従業員に交通費を支給する義務はないとされています。しかし、多くの会社は福利厚生の一環として交通費を支給しています。交通費を支給する場合「実費を全額支給」「3万円を上限として実費支給」「1日500円」など、会社によって規定はさまざまです。 しかし、以下のような方法で不正受給をする人もいるようです。 ●電車通勤と申請して定期代を受け取っているにもかかわらず、自転車通勤をしている ●会社の近くに引っ越したのに、引っ越し前の住所のまま交通費をもらっている 中には、今回の事例のようにひと駅前に降りて歩いて通勤することを考える人もいるようです。通勤手当をもらって定期券を購入している場合は、ひと駅前で降りたとしても交通費の金額に違いはないので問題ありません。 しかし、通勤手当をもらっていながら定期券は購入せず、徒歩や自転車などほかの手段を使っている場合は、交通費を多くもらっていることになるでしょう。 就業規則によっては、上記の方法は交通費の不正受給とみなされ、何らかの処分が下される可能性があります。「毎日ではないから」「みんなやっているから」などの理由で自己判断するのではなく、会社の就業規則を確認するようにしましょう。
交通費の不正受給に対する刑罰は?
交通費の不正受給に対する刑罰として、以下の法律が適用される可能性があります。 ・民法第703条 「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」 交通費の不正受給に対しては、会社が過払い分の返却を求めることもあります。また、過去には不正受給により減給や懲戒処分を下された人もいます。 ・刑法第246条 「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」 虚偽の申請をして、本来発生していない交通費をもらっている場合、刑法の詐欺罪に問われる可能性もあります。 交通費の不正受給は、悪質であると認められた場合に重い刑罰が伴うこともあるため、会社が定める規定に従って正しく請求するようにしましょう。