ザンダー・シャウフェレは「左わきにグローブ」 メジャーチャンプの“地味練”を見た
◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)◇7079yd(パー70) 【画像】ザンダー・シャウフェレのスイングを解説 PGAツアーのトップ選手を見ていて、気づくことがある。基礎的な練習をしている選手が意外と多い。習志野CCの練習場でも、キャディに頭を棒で押さえてもらって打ったり、両わきにタオルを挟んで打ったり、アマチュアと変わらないドリルをこなすプロがいる。中でも今季メジャー2勝を挙げたザンダー・シャウフェレは実に古典的なドリルを行っていた。
その一つがわきにグローブを挟んで球を打つ、いわゆる“グローブ挟み”。モノを挟むことでわきが締まった状態を作り、バックスイングやフォロースルーでひじが引けないようにする昔からよくある練習法だ。シャウフェレは左わきにグローブを挟む練習だけでなく、試合中もセットアップに入る前にウェアの袖を挟み、テンションをかけたまま打っていた。よほど左わきの締まった状態を作りたいのだろう。
本人にドリルの意図を聞いてみた。「もう長年やっているドリルなんだよ。自分は時々、腕が極端に高くなっちゃうときがあって。グローブを挟んでいれば、わきが空くと落ちるだろ? それが狙いさ」。どのタイミングで腕が高くなりやすいのか? 「バックスイングもそうだし、ダウンスイングでもそう。腕が高く上がっちゃうと、ダウンスイングでも腕が浮いたまま下りてきてしまう。するとスイングをコントロールできないからね。腕をなるべく低く保つように動かしたいんだ」という。「ジャスティン・ローズ(イングランド)もよくやっているだろ? みんなやることは一緒さ」とウインクしてみせた。
シャウフェレの基礎練習をもう一つ見つけた。スタート前のルーティンとして必ず打つのが、矯正グリップつきの7番アイアン(キャロウェイ APEX TCB)。自身のグリップを日々チェックしているわけだ。
「グリップはスイングのベース。ズレるとクラブをちゃんと上げられないばかりか、スイングのバランスも悪くなってくる。試合を重ねていくとグリップは変わりやすいから、時にこうしてキャリブレート(補正)しておくんだ」。毎日のように球を打つプロも、知らぬ間にグリップがズレてスイングがおかしくなっていくことがあるのだろう。
シャウフェレはパッティングでも、鏡の練習器具を使って目の位置や肩のラインのズレを日々チェックしている。強い選手ほどこうしたアライメント、グリップ、ボール位置などのチェックを怠らないのだろう。「昨日は上手く打てたのに今日は上手く打てない。1日経つと同じように構えられなくなる」。一打が重いプロゴルファーにとって、基礎練習は切実な問題に対応する時間なのだ。(千葉県印西市/服部謙二郎)